流れのふしぎ 遊んでわかる流体力学のABC
石綿良三、根本光正、日本機械学会 :編(ブルーバックス)
「流体力学に関する身近な書籍は?」と訊かれたら多くの流体力学研究者が挙げるであろう名著です。身の周りにある様々な「流れのふしぎ」を中高生もわかるように丁寧に解説しています。自分で簡単な実験をして確かめられそうなテーマも多く紹介されています。
日本機械学会流体工学部門のホームページ(https://jsme-fed.org)には本書の著者である石綿先生のグループによる実験動画が多数掲載されており、様々な「流れのふしぎ」がよりリアルに感じられると思います。書籍と併せて覗いてみることをお薦めします。
流体工学に革新! 機械学習を活用し、流れを自在に制御

「流体」のおかげで、電気もできるし、空も飛べる
気体や液体など、流れるものを「流体」と呼びますが、私たちはそれらの流れを利用することで文化的な生活を送っています。例えば、火力発電所では蒸気の流れで発電機を回して電気を作り出していますし、翼周りの空気の流れが発生させる揚力のおかげで私たちは世界中を簡単に旅することができます。
一方、流体抵抗によるエネルギー損失や流れの振動による騒音は持続可能な社会において解決すべき問題となっており、私たちの研究室ではこれらを低減させるための「流れの制御」の研究をしています。
数十億個以上の変数の時間変化を計算する
中学や高校の物理では質点の運動などの力学を習いますが、流体の流れも同じような力学の問題です。ただし、その自由度は巨大であり、コンピュータを使ってシミュレーションしたり制御しようとなると数百万から数十億個、あるいはそれ以上の数の変数の時間変化を計算していくことになります。
私たちはそこに機械学習を用いて、数個~数十個程度の変数だけを考えた制御によって所望の効果を得ようという研究を進めています。もしこれが実現できれば、実際の機器に少数のセンサとアクチュエータ(微小な力を発生させる装置)を搭載し、流れを自在に制御することができると考えています。
因みに私は流れの制御を考える上で重要な"FIK identity"という数式を博士研究員時代の2002年に発表したのですが、この数式が完成したのは高校数学で習った部分積分(当時は何の役に立つんだろうと思ってましたが…)をふと思い出したおかげでした!

子供の頃から電子工作やプログラミングが好きで、大学進学時点では電気・電子工学をやりたいと思っていました。が、大学に入っていろいろ学ぶうちに原子力に興味を持つようになり、原子力工学科(4年生のときに改称しましたが)に進学しました。
原子力工学は量子や核反応はもとより、材料や流体、果てはシステムや保健まで幅広くカバーする総合工学なのですが、卒論の研究室選びの際にその中の流体力学に惹かれ、現在に至ります。
「機械学習を活用した革新的流れ制御パラダイムの創出と実践」


◆主な業種
(1) ソフトウエア、情報システム開発
(2) 重電系
(3) 自動車・機器
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) 技術系企画・調査、コンサルタント
(3) 基礎・応用研究、先行開発
慶應義塾大学理工学部機械工学科ではいま、国際化に特に力を入れています。例えば、2年生から3年生にかけての春休みに実施される必修科目の「工場見学」には国内コースに加えて海外コースも6つあり(韓国、タイ、米国、マレーシア、インド、フランス)、多くの学生が海外での工場見学や現地学生との交流に参加しています。また外国人教員も徐々に増えています。
さらに理工学部・大学院理工学研究科全体ではダブルディグリー制度を始めとする留学プログラムも充実しており、以前、私の研究室では半数以上の学生が一度に海外留学していたこともあります。

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Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 東京藝術大学で楽理を学びたいです。 |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? 運動会ハンドボール部。部の同期や後輩とロックバンドを組んで学園祭でギターを弾いたりとかもしてました。 |
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Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 某ハンバーガー屋のオープニングスタッフ。開店初日にトマトと一緒に自分の指を切りました…。 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? バイオリン演奏。ピアノは小さい頃から弾いているのですが、バイオリンは50歳手前から始めたレイトスターターです。定年後にどこかのアマチュアオケに入れてもらえるよう、今のうちから練習してます! |