公共経済・労働経済

税制度

ミニチュア経済を使った仮想政策分析


菅史彦先生

九州大学 経済学部 経済工学科

出会いの一冊

ヤバい経済学 悪ガキ教授が世の裏側を探検する

スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー(東洋経済新報社)

相撲や犯罪、子育てなど、あまり経済学っぽくないトピックについて、データから明らかになる物事の裏側について紹介されています。

データ分析によってどんなことを明らかにすることができるのかを知ることもできますし、経済学的な物事の考え方の重要性を知ることもできるというのも、この本の素晴らしいところだと思います。内容がとても面白いので、普通に読み物としても楽しめますし、世の中、特にアメリカ社会について知ることができるのも良い点だと思います。

こんな研究で世界を変えよう!

ミニチュア経済を使った仮想政策分析

経済学と「合理的な個人」

最近の選挙では、必ずと言ってよいほど「税のあり方」が争点になります。経済学には「より良い制度や政策をデザインする」ための学問としての側面があり、「政府が、誰からどのようにお金を取るのか」というのも、経済学の重要な研究テーマの一つです。それでは、良い(税)制度とはどのような制度でしょうか。

例えば、多くの(野党の)政治家は、お金持ちからたくさん税金を取れと主張します。しかしそのような税制の下では、能力のある人がやる気をなくしたり海外に移住してしまい、結果として税収も減ってしまうかもしれません。重要なことは、制度や政策が変われば、それに応じて人々の行動も変わるということです。これが、現代の経済学が重視する「合理的な個人」の仮定です。

税の仕組みが変わったら、人々がどう行動を変えるか

それでは、税の仕組みが変わったときに、人々がどのように行動を変え、結果として政府の収入や人々の暮らしがどうなるかを分析するには、どうしたらよいでしょうか。

一つの方法は、コンピューターの中に現実世界を模した「ミニチュア」を作ってシミュレーションを行うことです。このミニチュアの中にいるのは本物の人間ではありませんが、本物の人間のようにいろいろな性格を持ち、それぞれの人生の問題に直面する中で、自ら意思で行動する存在です。

そのようなミニチュアに現実世界の制度を組み込み、例えばお金持ちの税金を重くすると何が起こるのかを明らかにするというのが、私の研究です。

2025年度日本経済学会春季大会@中京大学にて、パネルディスカッションに登壇
2025年度日本経済学会春季大会@中京大学にて、パネルディスカッションに登壇
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

学部では文学部西洋史学の専攻だったのですが、卒業論文のテーマを考える中で、大恐慌やハイパーインフレーションといった貨幣的な現象に興味を持つようになり、経済学部の大学院に進学しました。

しかし、経済学や数学の知識が足りず、授業についていけなくなって心が折れそうになりました。大学院で1年勉強して、計量経済学(データ分析)が面白いと思うようになり、計量経済学の先生にいろいろ相談に乗っていただくうちに、今の専門分野に興味を持つようになりました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「選好の異質性を導入したDSGEモデルの推定、および推定されたモデルを用いた制度分析」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 金融・保険・証券・ファイナンシャル

(2) ソフトウエア、情報システム開発

(3) コンサルタント・学術系研究所

◆主な職種

(1) 経理・会計・財務、金融・ファイナンス、その他会計・税務・金融系専門職

(2) システムエンジニア

(3) 一般・営業事務

◆学んだことはどう生きる?

私のゼミでは統計ソフトを使ってデータ分析をしてもらっていますが、就職先は必ずしもデータ分析に関係のある職種というわけではなく、ほとんどの学生は普通の企業(銀行など)に就職しています。しかし現在ではデータサイエンスがあらゆる分野で応用されるようになってきているので、希望的観測ではありますが、ゼミで学んだデータ分析に関する知識がきっと将来役に立つと信じています。

先生の学部・学科は?

経済学は数学を使う学問であるにもかかわらず、文系の学問ということになっています。そのため、特に私立の大学では、数学が必要な部分をごまかして、きちんとした経済学を学ぶ機会が限られてしまうこともあるようです。これに対し、九州大学経済学部経済工学科は理系科目で受験する学科なので、きちんとした数学に基づいた経済学を学ぶことができるのが強みです。また、データサイエンス系の専門の先生が多いのも特徴の一つです。

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

「学力」の経済学

中室牧子(ディスカヴァー携書)

教育や学力について、テレビなどで専門家を名乗る人がかなりいい加減なことを言っています。教育や勉強については、もちろんわからないこともたくさんありますが、データに基づいた信頼できる科学的な根拠もたくさん積み上げられています。それを中高生にもわかるように丁寧に書かれた、とても良い本だと思います。

中高生の皆さんの中には、毎日勉強しろ勉強しろと言われてうんざりされている方もいらっしゃると思います。この本を読んでみて、勉強して何か学ぶということの意味について、じっくり考えてみるのもよいのではないかと思います。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

経済学、特に計量経済学。

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

カナダ。景色がきれいで、経済学の本場アメリカに近いので。

Q3.感動した/印象に残っている映画は?

インターステラー

Q4.大学時代の部活・サークルは?

ハンググライダー

Q5.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

子育て


みらいぶっくへ ようこそ ふとした本との出会いやあなたの関心から学問・大学をみつけるサイトです。
TOPページへ