農業社会構造

生活改善普及事業

戦後、農村の生活向上と民主化を進めた生活改善普及事業


中間由紀子先生

島根大学 生物資源科学部 農林生産学科(自然科学研究科 農生命科学専攻)

出会いの一冊

ものいわぬ農民

大牟羅良(岩波新書)

本書は、戦後間もない頃、著者が古着の行商として岩手県の農村を歩いた際に見聞きした内容を基にして書かれたものです。当時の農家の生活、女性(とくに若嫁)の置かれていた立場、家同士の関係などが克明につづられています。悲しい話が多いので、読み進めるのが辛くなるかもしれません。しかし、戦後日本の農村において、なぜ「生活改善普及事業」が必要とされたのか、事業によって何を変えようとしたのかについて理解する上で必読の一冊です。

こんな研究で世界を変えよう!

戦後、農村の生活向上と民主化を進めた生活改善普及事業

「生活改善普及事業」とは

米国を発祥とする「生活改善普及事業」は、戦後日本に導入され、1948年に開始されます。しかし、大学を中核とする米国の事業をそのまま取り入れたのではなく、日本(本土)の場合は地方自治体が事業の拠点となります。生活改善普及事業の目的は、農村の生活水準の向上と共に、自主的な農民(考える農民)を育成し、それによって農村を民主化することにありました。

これらの基本方針に対して、地方自治体がどのように反応し、対応したのかについて中国地方(鳥取、島根、山口)および東北地方(岩手、青森、宮城、秋田)を対象として調査・研究を行いました。その結果、自治体によって対応に違いがあったことがわかりました。

米国統治下の沖縄ではどのようにして事業が行われたのか

日本(本土)の自治体を対象とした研究を経て、米国統治下の沖縄では、生活改善普及事業がどのようにして行われたのかという点に関心を持つようになりました。最初は、米国発祥の事業なので、米国と同じ方法で実施されたのではないかと考えていました。しかし、実際に研究を始めてみたところ、当初の予想とは異なり、日本(本土)式と米国式の2つの方法で事業が実施されていたことがわかりました。

現在、それぞれの事業の発足の経緯や内容、両者の関係について明らかにするため、沖縄や奄美(1953年12月25日の日本復帰まで、沖縄と共に米国の統治下に置かれた)において資料調査や聞き取りを行っています。

旧崇元寺(那覇市)です。戦後、琉球政府資源局(普及事業の本部)が置かれました。
旧崇元寺(那覇市)です。戦後、琉球政府資源局(普及事業の本部)が置かれました。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

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「米国統治下の沖縄における生活改善普及事業の実態に関する研究」

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来訪神「パーントゥ」で有名な宮古島島尻地区での調査時のものです(後ろに見えるのは大神島)。
来訪神「パーントゥ」で有名な宮古島島尻地区での調査時のものです(後ろに見えるのは大神島)。
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中高生におすすめ

旅する巨人

佐野眞一(文春文庫)

民俗学者・宮本常一の業績、宮本と実業家・渋沢敬三との交流について書かれた本です。本書を読むと、現地に赴き、自分の足で歩いて調べることが如何に重要であるかを痛感させられます。


沖縄現代史

櫻澤誠(中公新書)

戦後沖縄の歴史がわかりやすく簡潔にまとめられています。今も多くの問題を抱える沖縄の現状について考える際、さまざまな示唆を与えてくれる一冊です。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

もう一度「農業経済学」。農業史を学び直したい。

Q2.一番聴いている音楽アーティストは?

松任谷由実:特に好きなのは「ANNIVERSARY」

Q3.感動した/印象に残っている映画は?

七人の侍、砂の器

Q4.好きな言葉は?

初心忘るべからず


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