地盤工学

地盤構造

地表の揺れを測れば、地下の地盤構造が推定できる!


落合努先生

神奈川大学 建築学部 建築学科

出会いの一冊

震災列島

石黒耀(講談社文庫)

災害をテーマにした小説はいくつかありますが、どれもかなりリアルな状況を表現していて勉強になります。特にこの小説の主人公は地質会社(地盤調査)の技術屋で、私も大学卒業後に地盤調査の会社に勤務していたことがあり、親近感を抱きながら読みました。

こんな研究で世界を変えよう!

地表の揺れを測れば、地下の地盤構造が推定できる!

ボーリング調査と微動計測を組み合わせる

過去の数多くの地震被災地での調査から、被害の大小はその場所の地盤構造が大きく影響していることを実感しています。

一般に地盤構造は、実際に地面に穴を掘って調べる「ボーリング調査」が一般的です。ただ、実際に穴を掘る作業は時間も費用もかかる大変な作業です。最近では過去に実施されたボーリング調査がデータベース化され、インターネットなどで見られるようになっていますが、地盤構造を把握するのに十分なデータは首都圏などの都市部に限られています。

一方で近年は、常時微動という地上で地盤の微小な揺れを測定し、その結果から地盤構造を推定する手法が発展してきています。そこで、私は既存のボーリング調査結果と新たに観測した常時微動計測のデータを組み合わせて、地盤構造を推定する研究を進めています。

一般の人にも地盤構造を理解してもらいたい

目に見えない地下の地盤構造を推定するため、推定した結果が正しいかどうかの確認が非常に難しいです。しかし、地震観測の記録、過去の地震被害の分布、地形状況などと比較することで、それなりに説明性のある地盤構造が作成できていると感じています。

作成した地盤構造をわかりやすく可視化することで、専門家でない一般の方々が「自分が住んでいる場所の下の地盤構造がどのようになっているのか」を理解するための一つの資料になれば嬉しいです。また、何より地表の揺れを測るだけで、目に見えない地下の地盤構造が推定できるってわくわくしませんか。

3Dプリンターで作った鎌倉沿岸部の3D地形模型。フィールドワークに加えて、いろいろなツールを使って地形や防災について学んでもらうようにしています。
3Dプリンターで作った鎌倉沿岸部の3D地形模型。フィールドワークに加えて、いろいろなツールを使って地形や防災について学んでもらうようにしています。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

大学では建築学科に進学していましたが、漠然と建築設計や施工管理ではない仕事をしたいと考えていました。そんな中、建築学科では比較的珍しい、地盤や防災をテーマとしている研究室の存在を知り所属しました。

その後、民間企業で働きつつ、所属していた大学との共同研究などを進める中で、地震被災地に何度か訪問する機会を得ました。被災地に何度も訪れる中で、災害の被害を小さくするためには何ができるかを考えるようになり、地盤や防災をテーマとした研究職を志すようになりました。

大学時代から使っている参考書。表紙がボロボロになっていますが、今でもたまに開いて確認することがあります。
大学時代から使っている参考書。表紙がボロボロになっていますが、今でもたまに開いて確認することがあります。
先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「ハイブリッドな地盤構造推定法の精度検証と豪雪地域への適用による被害軽減への試み」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
フィリピンの地震被害調査’(2022ABRA Earthquake)に行った時の街並み。路上に子供たちががあふれていて、雑多であるが活気がある楽しい空間でした。
フィリピンの地震被害調査’(2022ABRA Earthquake)に行った時の街並み。路上に子供たちががあふれていて、雑多であるが活気がある楽しい空間でした。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 建設全般(土木・建築・都市)

(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等

(3) 不動産、賃貸・リース

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) 技術系企画・調査、コンサルタント

(3) 製造・施工

◆学んだことはどう生きる?

工業高校の教員についた卒業生がいます。研究室に所属する前から教員になることを目指していたので、防災教育をテーマとした研究を一緒に行いました。研究を進めるときには、「自分で考える」、「相手にわかりやすく伝える」など専門でない部分にも留意した指導をしたつもりです。それらの経験を生かして、良い先生になってくれていると思います。

先生の学部・学科は?

建築の分野は、建築設計、施工、歴史、文化、環境、構造、私が専門の地盤や防災など広い分野の知識が学べます。大学に入る段階では何がやりたいかあまりわかっていなくても、いろいろな授業を受けていくと興味がある・自分に合ったテーマが見つかると思います。

私も大学に入る前は、「理系だけど数学があまり得意でない」、「街を歩くのが好き」程度の理由で建築学科への進学を選びました。それが今では研究職についているのは驚きです。

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

彼女を守る51の方法

古屋兎丸(BUNCH COMICS)

「首都・東京を襲う、直下型地震!その時、あなたは…」(1巻の裏表紙より)

災害が発生した後の状況がかなりリアルに描かれています。「気持ち悪い」、「怖い」と感じるかもしれませんが、今後自分の周りで起こりうる状況だと想像して読んでみてもらいたいです。


理科系の作文技術

木下是雄(中公新書)

大学を卒業して働きだしてすぐの時期に、会社の上司から読むように薦められた本です。本を薦められた時に、同時に、「あなたの文章は何を伝えたいのかわからない」と厳しいお言葉を頂きました(笑)。


闇を割く道

吉村昭(文春文庫)

世紀の難工事といわれた丹那トンネルの掘削を舞台にした小説です。ここで描かれている現場での人間模様、土木技術や知恵は、近年のリニア建設などにもつながる内容だと思います。

一問一答
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

スペイン南部、街並みがきれい

Q2.感動した/印象に残っている映画は?

ショーシャンクの空に

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

夏休みに1か月くらいリゾートホテルで住み込みのアルバイトをしました。

Q4.好きな言葉は?

なんとかなる


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