機械力学・制御

振動測定

たった1つのセンサで、エレベータ全体の揺れがわかる高コスパ技術


三浦奈々子先生

京都工芸繊維大学 工芸科学部 機械工学課程(工芸科学研究科 機械物理学専攻)

出会いの一冊

新プロジェクトX〜挑戦者たち〜

NHK番組

様々な分野の最前線を知れますので、自分が何にロマンを感じるのか知る一つのきっかけになると思います。※画像は書籍版(NHK出版新書)

こんな研究で世界を変えよう!

たった1つのセンサで、エレベータ全体の揺れがわかる高コスパ技術

巨大なものをどう測定するか

物の状態を測定する道具には色々なものがあります。野球でボールの速度を測定するスピードガン、カメラからの距離を測定するモーションキャプチャなんてものもありますね。

通常、物の状態を測定しようと思った場合、その物に向けて道具を使います。ただ、その物がとっても大きかったり、すごく暗いところにあったり、すごく狭いところにあったりしたらどうでしょうか。そういったうまく見えない物がどうなっているかを、透視能力のようにズバリ当ててしまったらすごくないでしょうか。

ちょっとだけ見て、全体を透視する

私の研究は、「物の縁をちょっとだけ見て、全体を透視する」ことを可能にしました。

“いくつかの情報”から、見えない物を推定する技術はもちろんすでに存在していましたが、私の提案した新しい技術は、“たった1つ”の距離を測るセンサ(数十センチの距離が測れる低性能なもの)があれば、200mほどあるエレベータのワイヤロープ全体がどんなふうに揺れているかを当てることができる、高コスパ技術になります。

地震時の揺れがわかる

必要なのはセンサ1つとワイヤロープの長さ情報だけです。ワイヤロープがどんな素材でも使えます。この技術は、地震が起きたときにその性能を発揮します。この技術があれば、地震によってエレベータがどんなふうに揺れているかわかるのです。すごくないですか。

極端に単純に、そして大胆に簡略化して物事を見たとき、見えていなかったもの、その物事の性質・本質が見えてくることがあります。そんな体験も研究の醍醐味です。

みなさんも目の前の現象を単純な数式で表して、解明していきませんか。

大学3年生の秋頃に研究室配属があります。その説明会で使用している研究室紹介のスライドです。
大学3年生の秋頃に研究室配属があります。その説明会で使用している研究室紹介のスライドです。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

出身大学での学科はシステムデザイン工学科(機械、情報、建築などの分野を横断的に学ぶ学科)で、最初に就職した学科は海洋土木工学科でした。そして今、機械科にいます。

もちろんスタート地点が適切であればあるほど効率は良いと思いますが、それで人生が決まるものでもないみたいですね。現在に至るまで学科・分野のこだわりはなく、常に前向きに、チャンスがあったらとりあえず飛びついて、興味の向いたものを興味のままに取り組んでいます。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「1つの変位センサで完結する、重量物牽引ワイヤロープのリアルタイム状態推定器の開発」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
研究室メンバーと研究室の入っている建物の中庭で。大学4年生から大学院2年生まで各学年5人前後、研究生と博士課程の学生数人でワイワイ過ごしています。
研究室メンバーと研究室の入っている建物の中庭で。大学4年生から大学院2年生まで各学年5人前後、研究生と博士課程の学生数人でワイワイ過ごしています。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等

(2) 電気機械・機器(重電系は除く)

(3) 鉄鋼

◆主な職種

(1) 設計・開発

(2) システムエンジニア

(3) 生産技術(プラント系以外)

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

機械(18才当時は建築を学びたくて大学に行きました)

Q2.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

ドラゴンクエスト

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

大学の図書館の書架整理

Q4.好きな言葉は?

いいじゃん!


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