設計工学・機械機能要素・トライボロジー

トポロジー最適化

あらゆるモノが「最適化されたかたち」になる時代へ!


矢地謙太郎先生

大阪大学 工学部 応用理工学科(工学研究科 機械工学専攻)

出会いの一冊

こんな研究で世界を変えよう!

あらゆるモノが「最適化されたかたち」になる時代へ!

「かたち」には理由がある

私たちの身の回りにあるモノの「かたち」は、すべて理由があって決められています。たとえばスプーンを思い浮かべてみましょう。大きすぎず小さすぎず、ちょうどよい形だからこそ、食べ物をスムーズに口に運ぶことができます。飛行機も同じです。たくさんの人や荷物を運びながら効率よく飛べるように、空気を切り裂くようなシャープな形になっています。こうした形は、適当に決められたのではなく、私たちの生活を支えるために工夫されているのです。

ウニョウニョと新しい形が生み出される

私の研究では、この「かたち」を人の勘や経験に頼るのではなく、コンピュータを使って自動的に導き出す方法を開発しています。この方法は「トポロジー最適化」と呼ばれるもので、何もない箱の中から、まるで生き物のようにウニョウニョと新しい形を生み出していきます。

たとえば、図1のように左側を固定して右下に重りをつけたときに、なるべく変形せず、しかも軽い構造を自動で見つけてくれるのです。しかもこの技術は、力学的な構造だけにとどまらず、例えば図2のようなバッテリーで用いる流路の設計など、さまざまな分野に応用できます。

図1:構造物を対象としたトポロジー最適化(赤:材料あり、青:材料なし)
図1:構造物を対象としたトポロジー最適化(赤:材料あり、青:材料なし)
図2:レドックスフロー電池の電解液輸送流路を対象としたトポロジー最適化
図2:レドックスフロー電池の電解液輸送流路を対象としたトポロジー最適化

航空機やロケットの部品を金属3Dプリンターで

さらに最近では3Dプリンターの普及によって、こうして最適化された形を図3のように手軽に造形できるようになってきました。たとえば、航空機やロケットの部品を最適化して金属3Dプリンターで作り、そのまま飛行に利用するケースもあります。もしかすると近い将来、私たちの身の回りのあらゆるモノが「最適化されたかたち」になる時代が来るかもしれません。

図3:トポロジー最適化で得られた結果を3Dプリンターで出力した例
図3:トポロジー最適化で得られた結果を3Dプリンターで出力した例
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

私は父の影響で10歳のころからボート競技に打ち込んでいました。ボート競技とは、オールで水をかきながら後ろ向きに進み、スタートからゴールラインを通過するまでのタイムを競うスポーツです。

そんな中、私はよく「このオールのかたちは本当に最適なのだろうか?」と疑問を抱いていました。もっと速く進むための究極のオールを設計したい。その思いを抱いているさなか、「トポロジー最適化」に出会い、これだ!と思いました。

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「積層造形を前提とする伝熱機器のマルチフィデリティ形態創成法」

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中高生におすすめ

ミッドナイト・スカイ

出演:ジョージ・クルーニー

舞台は2049年の近未来。人類は地球に住めなくなり、宇宙へ避難せざるを得なくなったーー。そんな中、一人地球に残った科学者と人類の未来を託された人々とのやりとりを描くSF映画です。

この映画の魅力は、ストーリーだけではありません。登場する宇宙船の外装や内装、ライフル銃に至るまで、様々な構造がトポロジー最適化によって導き出されています。

もちろん、映画のように地球に住めなくなる未来は絶対に避けたいものです。しかし一方で、「トポロジー最適化が当たり前の世界」という点では、非常にリアリティのある未来像でもあります。

予告編YouTubeはこちら↓

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スラムダンク勝利学

辻 秀一(集英社インターナショナル)

「勉強も研究も高みを目指す点ではスポーツと変わらない」というのが私のモットーです。勝つための戦略だけでなく、もう一歩踏み出す根性を引き出してくれる良い書籍です。


キノの旅

時雨沢恵一(KADOKAWA)

いわゆるラノベであり、私が中学の頃に活字を読むきっかけを与えてくれた小説です。文章から伝わる情景が美しく、自分もこんな文章を書きたい、と思わせてくれたシリーズです(結局、小説家への夢は早々に諦めてしまいましたが)。


栄光と狂気:オリンピックに憑かれた男たち。

デイビッド・ハルバースタム(CEメディアハウス)

ボート競技(Rowing)を舞台にオリンピックを目指す男たちの生々しい人生が描かれています。何かを得るためにはときに狂気的とも言える努力が必要であることを、心の底から感じることができる書籍です。

一問一答
Q1.一番聴いている音楽アーティストは?

福山雅治。中でも「蛍」は、とある悲しいドラマの主題歌であり、ミュージックビデオを見ると当時の記憶が蘇ります。

Q2.感動した/印象に残っている映画は?

「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」。ガンダム作品は昔から好きでしたが、十代のときの自分と今とでは全く違って見える映画です。ちなみに、この映画ではじめてν(ニュー)を知りました。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

私は大学の博士後期課程2年生まで、「NPO法人 瀬田漕艇倶楽部(https://www.setarc.jp/)」に所属し、ボート競技に打ち込んでいました。大学時代に日本代表としてU23世界選手権に出場した経験もあります。

今では当時のように漕ぐことはできませんが、公園の手漕ぎボートなら、誰にも負けないくらいのスピードを出せる自信があります。

Q4.好きな言葉は?

「気心腹口命」という言葉をご存じでしょうか。

「気は長く、心は丸く、腹立てず、口慎めば、命長かれ」と読み、達磨大師の教えとして伝わるものです。

私がこの言葉に出会ったのは、大学受験の前日。親の知り合いの家に泊めていただいたとき、机にこの言葉が貼られていました。そのときの緊張感とともに、この言葉は強く心に刻まれました。

人によっては「人との関わり方の心得」と受け止めるかもしれませんし、「心の平穏を保つための指針」と捉える人もいるでしょう。私自身にとっては、この言葉は「己に集中せよ」という意味を持っています。余計な感情や雑念にとらわれず、自分の目標やすべきことに心を向ける。それが、今も私の座右の銘となっています。


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