レーザ光を操り、レーザ加工の無限の可能性を追求
意外とお世話になっているレーザ光
パソコン、携帯端末、自動車、家電など様々な産業分野において、レーザ加工を用いなければ実現できない手法が多くあります。例えば、メモリなどの集積回路を形成するためのレーザ露光、太陽光発電パネルの回路形成、新型コロナウィルス感染症拡大時にお世話になった遮蔽用アクリル板の切り分けなど、直接目にすることはなくても我々の生活を支えています。
その他に、通信や計測等でも多くの革新的技術が開発され、1960年にレーザ光が世に出てから100年も経っていないのに、レーザ光を用いた技術は我々の生活を大きく変えてくれています。ひょっとすると皆さんの身の回りにも、レーザ光に関連したものがあるかもしれません。
レーザ出力が大きくなれば硬い金属でも変形できる
皆さんもご存じのレーザポインタはレーザ光源ですが、その出力は1mW程度で材料に照射しても何も変化が起きません。しかし、レーザ光が目に入ると危険という話は聞いたことがあると思います。これはレーザ光を小さな点に集めることができるからです。さらに1mWのレーザ出力が数W、数kWと大きくなれば硬い金属でも形を変えることができます。
例えば、遠く離れたところからレーザ光を照射しても金属を溶かすこと(図1)、光を透過するはずのガラスでもレーザ光エネルギーを局所的に集めるとガラスを溶かしてくっつけることができます(図2)。髪の毛の1/10程度細い小さな穴をあけることも難しくはありません(図3)。
多様な加工ができるレーザ加工 3Dプリンタも
さらに、レーザ光を照射することで板材を曲げたりできるなど、レーザ加工は一つのツールで多様な加工法を実現できる大きな可能性を秘めた加工法です。近年ではくっつける技術の発展版である3Dプリンタを聞いたことがあるのではないでしょうか。
私は、材料をくっつける溶接、材料を除去する穴あけや切断加工、材料の表面特性を改質・制御する手法(図4)など、多くの研究に取り組み、レーザ加工の可能性を追求しています。近年ではレーザ光の形状を操る手法や材料特性の制御などにも興味を持って研究に取り組んでいます。
私が学んでいた大学には、偶然にも機械加工法と特殊加工法を学べる研究室の両方があり、新しいものが楽しそうと思い特殊加工法を学ぶ道へ進みました。大学生のときは、電気の火花で材料を除去する放電加工に取り組み、その後レーザ加工と出会いました。
レーザ加工を始めた当時は色々ある特殊加工法の中の一つとして考えていましたが、研究を進める中で材料とレーザ光の相互作用がよくわかっていない点が多いこと、アイデア次第では全く新しい手法を提案できることなどから、今ではレーザ加工を主体的に研究しています。
「近赤外レーザ斜め照射と楕円青色レーザの重畳によるCu/Alの高信頼・高品位溶接」
◆主な業種
(1) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
(2) 自動車・機器
(3) 電気機械・機器(重電系は除く)
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) 生産技術(プラント系以外)
(3) 基礎・応用研究、先行開発
◆学んだことはどう生きる?
レーザ加工は光学と工学の融合技術です。また、我々は微細加工からマクロ加工まで幅広く取り組んでおり、豊富な経験を積むことができます。卒業生は大企業に就職しても高い確率でレーザや高エネルギービーム加工に関連した仕事に取り組んでいます。また、加工学は総合的な学びでもあり、実験とシミュレーション、材料学、システムなど多くの知識と経験を有する卒業生は多方面で活躍しています。
材料加工、エネルギー、機械システムとそれらを総合的に扱う輸送システムなど、非常に幅広い内容を学べます。また、近年の情報化社会に必要なプログラミングやデータ科学にも取り組めますので、機械工学分野で必要な基礎学力を身につけつつ、これからの社会で求められる学問も学ぶことができます。次世代エネルギーの水素やアンモニアの利用に関する研究、次世代加工法であるレーザ加工に関係した取り組み等に関わり、次世代で活躍できる機械系技術者として社会へ飛び立てます。
「光と粒子の相互作用に関して」
夕日が赤く見えるのは何故か調べてみましょう。光の波長と粒子サイズの相互作用の一端に触れることができると思います。
| Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 電気工学 |
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| Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? シンガポール:温暖な気候と先進性 |
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| Q3.大学時代の部活・サークルは? バドミントン |
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| Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 百貨店のお菓子売り場 |
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| Q5.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 米作り |
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| Q6.好きな言葉は? その場で輝く |

