加工が難しい省エネ材料「アモルファス合金」の加工法を開発

モーターの電力損失を減らす画期的な材料
日本で使用されている電力の半分以上が何に使われているか、知っていますか。
答えはモーターです。モーターは身の回りの家電製品、乗り物など、幅広い分野で用いられる重要な部品です。しかし、そのうち約3割の電力がモーターの動力を生み出す際に失われています。私は、このモーターの電力損失を従来の十分の一まで低減できる画期的な材料(アモルファス合金)の新しいものづくり技術を開発しています。
強すぎて工具が破損!
身の回りにある多くの材料は、「結晶」という規則正しい原子レベルの構造を持っています。アモルファス合金は、この結晶構造を持たないために、優れた省エネ性を発揮します。
しかし、同時に、髪の毛の半分以下ほど薄く、なおかつ硬いのに粘り強いという特性を持つため、この材料をモーターの形状に加工するのは非常に困難です。さらに、加工に用いられる工具は1組当たり約数千万円と非常に高価ですが、アモルファス合金が強すぎてすぐに損傷してしまうために加工費が高騰してしまい、この材料のモーターへの適用は進んでいません。
加工する箇所だけ「弱く」する
そこで私は、アモルファス合金の構造を局所的にコントロールして変化させ、加工する箇所だけ「弱く」するという新たな方法を開発しました。この方法により、材料の粘り強さを大幅に低減させ、工具の損傷も抑えられるようになりました。
現在は、私が開発したものづくり技術で作製した省エネモーターの社会実装を目指し、日々研究を進めています。

もともと私はバーチャルな技術よりも、自分たちの生活を支えている身の回りにあるモノ(ハードウェア)自体の方が興味・関心がありました。だからこそ、私たちの生活に用いられている様々な製品が、どのように加工されるのかを理解し、どのようにすればさらに加工しやすくなるのかを学問的に「研究」するという発想は、中学・高校までの机上の勉強ではなかなか行きつかない分野であり、そこに面白みを感じました。
「アモルファス合金の熱的微細組織変化がもたらす加工性向上因子の解明」


◆主な業種
(1) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
(2) 自動車・機器
(3) その他の機械・機器
◆主な職種
(1) 生産技術(プラント系以外)
(2) 設計・開発
(3) 基礎・応用研究、先行開発
◆学んだことはどう生きる?
当研究室出身の学生の就職先は様々ですが、メーカーへの就職が一番多いかと思います。例えば設計部門に配属された場合、どのようにその製品がつくられているのかを理解したうえで行う設計と知らないで行う設計では、全く違うものになるでしょう。
ものづくり技術はどのメーカーでも用いるものですので、その内容を深く理解したうえで実務に取り組めるという点が当研究室出身者の強みとなると考えています。
私の所属している「機械知能・航空工学科」では幅広い専門知識を学ぶため、航空、ロボット、医工学、さらには私が専門としているものづくり技術など、様々な分野を選択して進むことができます。
また、大学自体が「研究第一主義」を掲げていることもあり、本学科の大学院への進学率は9割以上です。大学院で専門的な知識と実践的な研究経験を踏んだうえで、社会で活躍する即戦力となる人材を育てるという点が特徴かと思います。
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Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 経済学 |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? ゴスペルサークル |
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Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? ウェブ監視員 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? ホットヨガ |