細胞のデザイナー“細胞骨格”を操り・創る分子ロボットの研究
タンパク質は超小型の機械
タンパク質は食べ物の栄養源にとどまらず、分子サイズの機械として働き、エネルギーの生産や運動、信号伝達など、多様な側面から生命活動を支えています。
その多彩な機能を解き明かし、タンパク質を自在に操る研究は、新薬・ワクチン開発や難病原因の解明、革新的バイオ素材創出に直結し、世界中の社会課題の解決を加速させます。近年はAIの力で完全に新しいタンパク質を設計できる時代に入り、2024年のノーベル賞でも注目された最先端の分野です。
分子部品で作る超小型のロボット「分子ロボット」
私の研究は、タンパク質や他の分子を組み合わせ、超小型のロボットである「分子ロボット」を作ることを目指しています。その主要な材料が、細胞の形と動きを制御するタンパク質製のナノ繊維である細胞骨格です。
細胞骨格はモータータンパク質と結びつき、自ら配列を組み換えて秩序ある構造を作り出します(自己組織化)。この働きにより、細胞骨格は染色体を分配する紡錘体や、私たちの体を動かす筋肉など、生命を支える多様な分子機械を生み出します。
私はこの細胞骨格の自己組織化を試験管内で再現し、半導体加工技術などの工学・化学手法を融合して、細胞骨格を中心とする制御可能な分子部品を設計・開発し、分子ロボットへ統合する研究を進めています。
ナノの世界をアートで体感
分子機械が活躍する細胞内のナノスケールの世界を視覚的に伝えるため、タンパク質のパターンアートや、イラスト、3DCG、VR・MR作品で表現する分子バイオアート作品の研究も行っています。
細胞VRやタンパク質MR作品など、オープンキャンパスで公開しています。ぜひナノの世界をのぞきに来てください。
私が小学生だったころ、『ジュラシックパーク』という映画が公開されました。この映画では、琥珀の中に閉じ込められた蚊が吸った恐竜のDNAを取り出し、不足している部分をカエルのDNAで補って、恐竜を現代に復活させるという斬新な物語が描かれていました。このシリーズは現在でも新作が公開され続けています。
私はこの映画を子供のころに見て、人間が新しい生き物を設計し、人工的に生み出すことに強く惹かれました。恐竜そのものではありませんが、その興味が発展し、分子レベルから生物を設計し、生き物のように動く「分子ロボット」を作り出す現在の研究へとつながっています。
「混成アクティブマターのパターン形成の解明」
◆学んだことはどう生きる?
私の研究室はまだ設立されたばかりで、卒業生はそれほど多くありませんが、芸術工学部全体ではデザイナーやクリエイターをはじめ、さまざまな分野で幅広く活躍しています。
芸術工学部は他の学部と異なり、「デザイン」をキーワードとして、文系・理系を問わず幅広い分野を横断的に学べるユニークな学部です。「芸術」という名前がついていますが、アートだけにとらわれず、多様な学問を自由に探求し、ときにはそれらを融合させて、他の学部ではできない新たな形で学びを深めることができます。
私自身、分子ロボットの研究と並行して、分子バイオアートという研究にも取り組んでいます。理学部や工学部では研究課題や業績として認められにくい内容でも、ここでは自由に追究することができます。
人工細胞の設計
単純な人工細胞は、意外と簡単にできます。小学生向けのイベントでも、実際に人工細胞を作る体験実験を何度か行ってきました。高校生の皆さんであれば、さらに一歩進めて、その中に身近なもので抽出したDNAや池などで採取した微生物やバクテリアなどを封入した人工細胞の作製にも挑戦できます。市販のスマートフォン用顕微鏡を取り付けて観察すれば、さらに面白い発見があるかもしれません。
| Q1.感動した/印象に残っている映画は? 『ジュラシックパーク』、『エイリアン』です。空想の生物なのに、造形の作りこみが素晴らしいです。 |
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| Q2.大学時代の部活・サークルは? 漫画研究会です。今もそうですが、イラストを描くのが好きだったので、そのころからデジタルイラストの制作に取り組むようになりました。 |
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| Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 半ば自営業ですが、イラストレーターっぽいことをしたりしていました。 |
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| Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 最近は、AIで遊ぶのが趣味です。私はプログラミングの知識はゼロですが、AIを使っていろいろなアプリを作ったりしています。 |

