そこに暮らす人をよく見、よくきくソーシャルワーカーの実践

人口減少社会の課題
人口減少が進む現代社会において、問題となることはどのようなことでしょうか。
空き家や農地の荒廃、人手不足や労働力の低下などがすでに指摘されています。有効な施策は何か、どのように対応していくべきなのか。社会問題に対応する方策ばかりに目を向けていると、みえてこないことがあります。
そこにはLIFEがある
地道に集落(地域)に通い、そこで暮らす人々の話をきき、集めた資料やデータを整理してまとめ、それを続けることでみえてきたことがあります。それは、そこで暮らしている人たちがいる、LIFE(生命・生活・人生)があるという事実です。
非常に単純で、あたりまえのことのように思うかもしれませんが、後継者はどうするのか、耕作放棄地はどうするのかと、外にいる人たちがどれだけ大騒ぎしたとしても、そこで暮らす本人がどのように考え、どのように暮らしているのか・いこうとしているのかが、大事ではないでしょうか。
みなさんが周りの大人たちから、「将来のために〇〇しなさい、△△してはダメ」とどれだけいわれても、自分自身がそうだなと思わないと、やる気にならないのと似た構造かもしれません。
‟ヨクミキキシワカリ”がその真髄
長年ソーシャルワーカーとしてお仕事されてきた宮本節子さんによると、ソーシャルワーカーというのは、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』にある一節‟ヨクミキキシワカリ”がその真髄であると述べています。
私自身がソーシャルワーカーとして、地域で暮らす人たちの暮らしを‟ヨクミ”、その人たちの話を‟キキ”、そして‟ワカロウ”とするところから方策を考えていきたいと思います。そして研究者として、ソーシャルワーカーたちがどのように人や地域に対して”ヨクミキキシワカリ”…を実践しているのかを明らかにしたいと考えています

社会福祉学に関心を持ったきっかけは、高校3年生の部活の引退試合で怪我をしたことです。幼いころから体を動かすことが大好きで、習い事や部活動もとても熱心に取り組んでいました。高校3年生の怪我はそんな私にとって、大きな転換点になりました。
昨日とは全く異なる自分、2度の手術やリハビリ…数カ月にわたる入院生活は、医療やリハビリテーション、社会福祉に関心を持つきっかけとなりました。
「人口減少社会におけるソーシャルワーカーによる越境型実践プログラム開発」

◆主な業種
(1) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(2) 病院・医療
(3) 自動車・機器
◆主な職種
(1) 一般・営業事務
(2) 福祉・介護関連業務・関連専門職
(3) その他
◆学んだことはどう生きる?
・市町村行政において公務員として活躍している卒業生がいます。現在は、生活困窮者支援に携わっています。
・公立病院のメディカルソーシャルワーカー(MSW)がいます。地域性を活かした医療現場で活躍しています。
・大学時代のスポーツ(部活)を企業でも続け活躍する卒業生がいます。卒業論文では、部員を対象に調査・分析を行いました。
・地域に根付いた金融機関で活躍する卒業生がいます。商店や中小企業が地域で継続的に事業ができるように努めています。
・福祉用具や住宅改修を扱う企業で活躍する卒業生がいます。営業職として、地域のお年寄りの暮らしを少しでも良くしようと奮闘しています。
私が所属する社会福祉学専攻は現代社会学部にあり、社会学・心理学・文化人類学など、人や社会、暮らしや関係への探求ができる学問領域の中で社会福祉学が学べます。社会福祉士(受験資格)取得だけでなく、その人を理解し、暮らしや社会をとらえる目を養うことができます。また、講義などの座学にとどまらず、様々な場所にフィールドワークに出かけます。そのため、現代社会学部で社会福祉を学んだ人たちは、広く社会の中で活躍する人材に育っています。
身近な地域で暮らす人たちはどのように暮らしているでしょうか。地域で大事にされていることや受け継がれている文化・伝統、生活していくうえでの困りごとやそれを解決する方法などを、地域に出かけ、そこで暮らす人たちに聞いてまとめてみましょう。
また、自分たちが住み慣れた地域で暮らし続けるために何があればよいか、歳を重ねて高齢者になったとき、どのような暮らしをしていたいかなどを考えてみるのもよいかもしれません。