国際法学

戦争犯罪

なくならない戦争犯罪 国際法上の犯罪に第三国はどう対処すべきか


竹村仁美先生

一橋大学 法学部(大学院法学研究科)

出会いのストーリー

アイダよ、何処へ?

ヤスミラ・ジュバニッチ:監督

1990年代に国際社会はボスニアのジェノサイドとルワンダのジェノサイドという2つの悲劇に直面しました。両方とも国連が介在していたにもかかわらず、止められませんでした。

この映画を通じて、武力紛争やジェノサイドの当事者でない国、国連、人がどのようにそれを止めようとし、あるいは止めることができないのかを学ぶことができるのではないかと思います。映画を観て、不公平さや不条理さも感じるでしょうし、ジェノサイドを防止し、中止するための答えは簡単に出ないと思いますが、国際社会を構成する各国家、国際組織、個人が特定の民族に対する虐殺に無関心でいてはいけないと改めて感じる作品です。

こんな研究で世界を変えよう!

なくならない戦争犯罪 国際法上の犯罪に第三国はどう対処すべきか

国や国際組織のお約束

遠い国でたくさんの子どもが亡くなり、建物が壊されるような戦争が起こった時、胸がつぶれる思いがすると思います。このようなときに、その戦争に参加していない国は、国際法上、何をすることが求められ、何をすることが許され、何をしてはいけないのでしょうか。たとえば、戦争の一方の当事者に武器を与えて応援することは許されるのでしょうか。

国際法とは、国と国との間のお約束や、国が集まってできている国連のような国際組織同士のお約束、または国際組織と国との間のお約束を指します。このお約束が紙に書かれている文書の形で存在すれば条約と呼び、文書となっていなくてもほとんどの国が守っているお約束を慣習法と呼びます。

他の国の領土を脅かす戦争はしてはならない

現代の国際社会では、他の国の領土を脅かすような戦争はしてはならないというお約束が国連憲章という条約の中に書かれています。

それでも、一国内で起こる武力紛争、いわゆる内戦や、二国間以上での武力紛争、いわゆる戦争は後を絶ちません。特に武力紛争の過程で、捕虜に対する拷問、子どもを含む民間人の殺害といった戦争犯罪など、重大な国際法上の犯罪が起きている場合に、どのように対処すべきか、関心を持って研究をしています。

海外の共同研究先のケンブリッジ大学の国際法研究所にて、研究発表の様子
海外の共同研究先のケンブリッジ大学の国際法研究所にて、研究発表の様子
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

公立の中学校のときに、私の前の席の人がサボーさんというハンガリー人でした。彼女と一緒に学び、遊び、笑ううちに、見た目は違っても、同じことに笑って同じことに泣くことが多いのだなと感じ、国際的なことに興味を持つようになりました。

大学で、国際法のゼミに所属し、国際法が人権保護など人類共通の利益を扱うことに強く感銘を受けたこと、大学4年の時には、そのゼミの先生が海外へ行かれていることが多く、ゼミ生同士で自習するうちに国際法の勉強に時間を割くことが多くなりました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「武力紛争の第三国による国際人道法および国際刑事法の履行確保に関する多角的研究」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
コロナ禍以前に伊勢志摩ユースホステルでゼミ合宿を行い、シリア情勢について模擬安全保障理事会を行いました。
コロナ禍以前に伊勢志摩ユースホステルでゼミ合宿を行い、シリア情勢について模擬安全保障理事会を行いました。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等

(2) 金融・保険・証券・ファイナンシャル

(3) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品

◆主な職種

(1) 一般・営業事務

(2) 人事・労務・研修、その他人事系専門職

(3) 総務

◆学んだことはどう生きる?

私のゼミは2016年にできたばかりですが、特に印象に残っているのは、航空・宇宙分野に関心を持って進路を選択しようとした学生です。たとえば、宇宙法の卒論を書いた学生がメーカーに勤務して、ロケット開発に携わったり、民間航空会社に自社養成パイロットとして就職した学生もいます。

また、在学中に航空大学校の受験を目指したゼミ生も2人おり、印象に残っています。航空の安全に関して卒論を書いた学生が国土交通省や出入国在留管理庁に就職することもありました。

先生の学部・学科は?

一橋大学は、少人数教育で知られていますので、ゼミの雰囲気は一般的にアットホームで、意見交換もしやすいという自由闊達な校風があります。また、法学と国際関係学の専門領域に分かれて、それぞれすぐれた法曹人材と国際関係に強い外交官などの実務家養成のエキスパートの下で学ぶことができる緩やかなコース制を採用しています。他方で、他学部の講義や演習も履修することが可能となっており、社会科学の総合大学であることを活かして、幅広い教養を身につけることが可能です。

コロナ禍でのゼミのレクリエーションとしてボードゲームを行いました。
コロナ禍でのゼミのレクリエーションとしてボードゲームを行いました。
先生の研究に挑戦しよう!

◆子どもの権利条約では、子どもは何歳までとなっていて、どのような権利が認められているのか調べてみましょう。子どもの権利を実現するために、この条約では国にどのような義務を課しているでしょうか。また、日本は条約を実施するために、どのような対応をしているのでしょうか。

◆日本の領土に対する他国による権利の主張として、具体的にどこについてどのような主張がなされているでしょうか。また、排他的接続水域とは何かを調べ、さらに日本の領海と排他的接続水域の面積を調べて、各国の領海と排他的接続水域を合わせた広さと比べて世界で何番目の海の広さか調べてみましょう。

◆月は、国際法上、どのような地位にあるのでしょうか。南極や北極の国際法上の地位と比較してみましょう。

中高生におすすめ

教養としての法学・国際関係学:学問への旅のはじまり (一橋法学・国際関係学レクチャーシリーズ 1)

一橋法学 国際関係学レクチャーシリーズ刊(国際書院)

大学の法学部で法学と国際関係学を勉強するための導入となる文章を、各分野の専門家が高校生向けに記述していて、読みやすく、法学や国際関係学を学ぶかどうか決める際のヒントになると思います。

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キャプテン・フィリップス

ポール・グリーングラス:監督

国際法上、海賊は人類共通の敵と呼ばれて、国際的な犯罪とみなされてきました。国際法を勉強すると、海賊について必ず勉強しますが、実際に海賊がどのように現れて、どのような害をもたらすか、またなぜ海賊が出てくるのかといった背景について想像しづらいところがあります。

この映画は、実話をもとにしているので、現実味とスリルがあって、海賊について考える際にとても良い材料ではないかと思いました。なぜ海賊を重大犯罪と考えるべきか、どう対処すべきか色々と考えさせられます。


目に見えないけれど大切なもの あなたの心に安らぎと強さを

渡辺和子(PHP文庫)

この本に出てくる「変えられないものを受け容れる心の静けさと、変えられるものを変える勇気と、その両者を見分ける英知を」という祈りの言葉は、まずは自己啓発として感銘を受けるものです。

さらに、この一節は、国家と国際組織と国際法のあり方を考えていく際にも、各「国家」は何を変えられないものとして国際法の規制が及ばないように守ろうとし、また守るべきであり、逆に、「国際法」は何を変えられないものとして守っていき、国家の態度を変えていこうとするのか、はたまた国際組織によって変えることのできることとできないことは何かを見分ける力をつけなくてはいけない、という形で頭に浮かんできます。

一問一答
Q1.感動した/印象に残っている映画は?

『あん』

Q2.大学時代の部活・サークルは?

模擬国連

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

巫女

Q4.好きな言葉は?

思う一念岩をも通す


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