物語 遺伝学の歴史 メンデルからDNA、ゲノム編集まで
平野博之(中公新書)
本書の前半では、現在の高校生が履修する生物基礎では扱われなくなってしまったメンデルを筆頭に、遺伝学の誕生と発展に大きな貢献を果たしたモーガン、マクリントック、ビードルを加えた4名の科学者について、その研究内容が色々なエピソードとともに紹介されています。また本書の後半では、生物基礎で重点的に学習するようになったDNAやゲノム、遺伝子の発現について、さらに深い知識を得ることができます。
著者が本書の冒頭で述べているとおり、遺伝学は極めて新しい学問分野であるにも関わらず、既に様々な形で私達の生活に深く浸透しています。本書を読めばそんな遺伝学の生い立ちと面白さがきっと皆さんにも伝わると思います。
個体を特徴づける遺伝子を手がかりに、理想のバラを生み出す
トゲを作る遺伝子、花弁を決める遺伝子
「棘のない薔薇はない」。有名なフランス語の諺ですが、そもそもバラはどうやって茎にトゲを作り出しているのでしょうか?
また、バラの中には花弁の縁がなだらかな弧を描いている品種もあれば、縁が反り返って花弁の先端が尖って見える品種もあります。このような花弁の形の違いはどのような仕組みで生じているのでしょうか?
この疑問に答えるため、私は「トゲを作る遺伝子」や「花弁の形を決める遺伝子」をバラから見つけ出す研究に取り組んでいます。
「育種家の経験と勘」に頼らない
バラは毎年50件前後の新品種が登録されています。新品種作出の肝は親に用いる個体の選抜ですが、現在、その選抜は育種家の経験と勘に頼って行われています。
遺伝子(DNA)を手がかりに親から子に伝わる性質を予測する。あるいは蕾をつけるよりもはるか前からどのような花が咲くのか予測する。私の取り組んでいる研究は、このように遺伝子(DNA)からその個体の特徴を予測できるようにする研究ともいえます。
生産量の落ち込みを取り戻したい
バラは年間第3位の出荷本数を誇る、日本の花き園芸を支える重要な品目です。しかし、残念ながら近年は生産量の減少が続いており、2022年の出荷本数はピーク時の1997年の約40%にまで落ち込んでいます。
現在の研究を通して生産者や消費者が思い描く品種を効率的に生み出すことができるようになれば、きっとこの減少傾向を食い止め反転させる助けになる。そんな思いを胸に日々の研究に取り組んでいます。
中学生の時、パズルを解くような感覚が好きで、遺伝の計算の授業に熱中していました。たまたまその単元の定期テストの点数が良かったこともあり、得意分野として勉強を続けた結果、いつしか親から子へ情報を伝達する遺伝子にも強い興味を抱くようになりました。大学で農学部に進学した後もその思いは変わることがなく、植物を材料に、当時一大ブームが来ていたエピジェネティクスという分野の研究に没頭していました。
「高需要バラ切り花品種の分子育種に向けたトゲ形成遺伝子と花弁形状制御遺伝子の同定」
Q1.一番聴いている音楽アーティストは? BUMP OF CHICKENの『窓の中から』 |
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Q2.感動した/印象に残っている映画は? 『オペラ座の怪人』 |
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Q3.学生時代に/最近、熱中したゲームは? 学生時代は『実況パワフルプロ野球サクセス』にはまっていました |
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Q4.大学時代の部活・サークルは? 大学祭実行委員会 |