ナノバイオサイエンス

タンパク質輸送

タンパク質がミトコンドリアに取り込まれる動画撮影に挑戦


荒磯裕平先生

金沢大学 医薬保健学域 保健学類(医薬保健学総合研究科 保健学専攻 病態検査学講座)

出会いの一冊

角川まんが学習シリーズ 世界の歴史

監修:羽田正(KADOKAWA)

これからの時代の担い手である皆さんには、日本だけに留まらず、世界に飛び出してほしいと思います。そんなとき、世界史の知識があると、外国の文化や地域の成り立ちを理解するのに大変役立ち、国際交流がもっと楽しくなります。グローバル化が進む現代社会で、歴史は教科ではなく教養です。

こんな研究で世界を変えよう!

タンパク質がミトコンドリアに取り込まれる動画撮影に挑戦

タンパク質はどうやって輸送されるのか

細胞の中では、核に存在するゲノムに刻まれた遺伝情報が転写・翻訳され、膨大な数のタンパク質が合成されます。これらのタンパク質は、広い細胞内で自分の持ち場に輸送され、自身の機能を発揮することで生命活動を維持しています。

郵便局も運送会社もない細胞の中で、タンパク質は何を目印にどうやって輸送されているのでしょうか。細胞の中で起きていることを自分の目で見て、タンパク質にとっての郵便局や運送会社の働く姿を解明したい! 私の研究の出発点は、いつもこの問いにあります。

ミトコンドリアへの通り道が明らかに

ミトコンドリアは細胞の中でエネルギー産生や代謝反応を行い、発電所・工場として機能します。ミトコンドリアの中には約1,000種類のタンパク質が輸送され、それぞれ自分の持ち場で機能を発揮しています。私は、ミトコンドリアで働くタンパク質を識別し、内部へ取り込むための輸送ゲートTOM複合体について研究しています。

近年、私たちの研究グループは、タンパク質の形を分子レベルで見ることができるクライオ電子顕微鏡を用いて、TOM複合体の立体構造を解明しました。この研究によって、ミトコンドリアで働くタンパク質が輸送ゲートTOM複合体に認識され、細胞質からミトコンドリアに輸送される際の通り道が明らかになりました。

特殊な顕微鏡を用いて、1分子レベルのムービーを撮ろう

現在はさらに研究を発展させ、高速原子間力顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いて、タンパク質が輸送ゲートTOM複合体を通って取り込まれる一部始終を1分子レベルのムービーとして撮影することに挑戦しています。タンパク質輸送への興味は止まるところを知りません。

ミトコンドリアへのタンパク質輸送ゲートTOM複合体(中央)と、タンパク質輸送の概念図。ミトコンドリアで働くタンパク質は矢印のようにTOM複合体を通って輸送されると考えられています。
ミトコンドリアへのタンパク質輸送ゲートTOM複合体(中央)と、タンパク質輸送の概念図。ミトコンドリアで働くタンパク質は矢印のようにTOM複合体を通って輸送されると考えられています。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

私がタンパク質をはじめとする生体高分子の「形」や「働き」に興味を持ったのは、大学受験準備を本格的に始め、高校化学の最後の方で習う“高分子化合物”を勉強したときです。生命現象を司る物質が化学構造式で表され、化学反応の連鎖によって複雑な生命活動が営まれていることに衝撃を受けました。

大学では、『細胞の分子生物学(通称THE CELL, ニュートンプレス)』という1,700ページほどの専門書を読むのが面白く、章ごとに細く切り離し、通学電車の中などで読んでいました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「動作中のミトコンドリア膜透過装置TOM複合体を通過する前駆体タンパク質の動態解析」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
6本の大型フラスコを使って一度に12リットルの出芽酵母を培養します。培養した出芽酵母から単離したミトコンドリアを用いて様々な実験に用います。
6本の大型フラスコを使って一度に12リットルの出芽酵母を培養します。培養した出芽酵母から単離したミトコンドリアを用いて様々な実験に用います。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 医療機器

(2) 薬剤・医薬品

(3) 病院・医療

◆主な職種

(1) 基礎・応用研究、先行開発

(2) セールスエンジニア・技術営業

(3) その他医療系専門職(臨床検査技師・理学療法士等)

◆学んだことはどう生きる?

専門知識は勿論のこと、私の研究室(病態検査学講座)では「プレゼン力」に磨きをかけることを重視し、積極的に指導しています。先日、臨床検査技師として病院に就職した卒業生から「大学院で培った発表スキルが役立った」エピソードを聞いて、とても嬉しく思いました。

先生の学部・学科は?

私の所属する学科(保健学類)では、医学研究、臨床研究、生命科学研究といったライフサイエンスに関する様々なバックグラウンドを持った研究者が集まっています。それぞれの先生が自身の強みを活かし協力しあうことで、臨床医学と生命科学の融合研究を行うことができます。

また金沢大学には、生体高分子の動きをナノスケールで動画撮影できる世界最先端の高速原子間力顕微鏡が備わっています。タンパク質の働く様子を可視化する研究が盛んで、沢山の生命現象が解き明かされています。

高速原子間力顕微鏡を用いてタンパク質の動きを観察している様子。研究室の学生さんも積極的に実験に参加しています。
高速原子間力顕微鏡を用いてタンパク質の動きを観察している様子。研究室の学生さんも積極的に実験に参加しています。
先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

動物のお医者さん

佐々木倫子(小学館ビッグコミックス)

獣医を志す大学生、大学院生の大学や研究室での日常生活が描かれた作品です。中学生の頃に読んで、自分がどんな大学生活を送るのか想像していました。理系・医学系の大学で研究を志す皆さんにおススメです。


サイエンスZERO

NHK

NHKで放送されている科学番組です。幅広い分野から最先端のトピックがコンパクトにまとめられ、分かりやすく紹介されています。実際に研究をしている先生方が、自分の言葉で研究の面白さを説明してくださいます。文理問わず、全ての中高生におススメです。

[webサイトへ]

一問一答
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

フランス。研究留学時、街並みが綺麗でご飯がおいしかったので。フランス留学中に培った「研究を楽しむ」気持ちを今も大切にしています。

Q2.一番聴いている音楽アーティストは?

Mr. Children『終わりなき旅』

Q3.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

ファイナルファンタジーシリーズ全般。最近も気分転換にリメイク版で遊ぶことがあります。

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

フルマラソンに出場して、記録を伸ばすこと。まずは5時間を切りたいです。


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