燃料電池に高価な白金を使わない触媒を開発する
燃料極と空気極の2つの電極
私は燃料電池の中の電極触媒を研究しています。
水の電気分解では電力を使って水に電圧をかけると、水素と酸素が発生しますが、燃料電池では逆に水素と酸素を反応させて電力と水を発生させます。燃料電池には燃料極と空気極という2つの電極がありますが、私はそのうち空気極の触媒を研究しています。
燃料電池自動車には高価な触媒
空気極では、酸素分子が水素イオンと電子によって還元されて水が生成する反応が進行していますが、その反応がどのくらいの速さで進行するかを決定づけるのが、「触媒」です。
現在実用化されている燃料電池自動車やエネファームでは、空気極の触媒に白金が用いられています。私は高価な白金が無くても作用する非白金触媒の実現を目指して、様々な触媒材料を合成し、その触媒活性を評価しています。
生体は最高のお手本
非白金触媒の最高のお手本は、私達生物です。生体内ではFeやNを含む酵素の働きによって、肺から吸収した酸素分子を還元しています。
そこでFeやNを含む高分子を熱処理にして炭素にしてみたり、FeやNを含む新しい錯体を有機化学の力を使って合成してみたりして、新しい触媒を開発しようとしています。
チャレンジングな研究テーマは上手くいかないことの方が多いです。私達の触媒の研究だと、チャンピオンデータが1年に1回更新できたら、大成功という感じです。「先生のいったとおりに触媒をつくってみたけど全然ダメだった。」ということが頻繁に起こるのが、先端研究の醍醐味だと思っています。
私は高校で力学的エネルギーの保存則を習った頃から、エネルギー変換技術に興味がありました。
高校時代に得意だった科目は物理、その次は化学、数学でした。大学で物理の分野か化学の分野に進むかとても悩んだのですが、物理を選ぶといつか数学の力が足りなくなると思って化学の分野にしました。
その後大学の研究室で燃料電池触媒の研究に出会い、以降アプローチは少しずつ変化しながらも、何かしら燃料電池触媒に関する研究を続けています。
「ミクロ相分離構造を内包したポリイミド微粒子の創生、炭素化、および電極触媒への展開」
◆主な業種
(1) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(2) その他の材料・製品
(3) 食品・食料品・飲料品
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 法務、知的財産・特許、その他司法業務専門職
ガソリンエンジン車、火力発電所、あるいは燃料電池車などは、燃料の化学エネルギーを運動エネルギーに変換しています。いろいろなエネルギー変換デバイスがどのようなエネルギー変換効率で作動しているか、調べてみましょう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? やっぱり化学?そうでなければ情報分野。 |
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Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 日雇いのバイト(引っ越し、駐車スタッフなど) |
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Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? ネット将棋 |
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Q4.好きな言葉は? It's not the end of the world. |