希望のちから
監督:ダン・アイアランド
HER2陽性タイプの乳がん治療に用いられているハーセプチンという薬の開発から承認までを描いた映画です。私たちが使っている薬がどのように開発されていくのかを知ることができます。薬の種であるシーズを見つけただけで薬として発売することはできず、承認・販売に至るまでには多くのハードルがあります。薬の開発はとても大変であり、患者を助けたいと強く思う人たちの手によって世に出ている素晴らしさを知っていただきたいです。
また、ハーセプチンはがん細胞の表面にHER2タンパク質が発現している場合にのみ効く薬です。ピンポイントで薬の効果を発揮する薬は副作用が少なく治療効果が高いと期待され、現在も多くの研究が進められています。
栄養補給の点滴製剤は薬物の解毒に有効か
薬は毒にもなる
薬は病気を治す効果がある一方で、毒として作用することがある諸刃の剣でもあります。薬を自らの意思で大量に摂取してしまった患者さんが救急搬送されてきた場合の治療は時間との勝負です。どんな薬をどのくらい飲んだのか、これらの情報により解毒をするための治療方法が瞬時に選択されます。
解毒メカニズムを明らかに
近年、薬物の解毒に脂肪乳剤(ILE)の投与が有用ではないかとの報告がなされてきました。そもそもILEとは、食事を摂れない患者さんがエネルギー不足になってしまった際に栄養補給をするための点滴製剤です。本来は時間をかけて投与する薬ですが、中毒症状に対して急速に投与することで解毒ができたという事例が報告されたのです。
しかしながら、どの薬に対して効果があるのか、明確なエビデンスがないのが現状です。そこで、ILEがどのような性質を持つ薬物の解毒に有効かを明らかにすることを目的に、ILEによる解毒メカニズムの解明を試みています。
狙ったところへ薬を運んで副作用を少なく
ILEは栄養補給に用いる薬であると紹介しましたが、ここに薬を入れれば薬を患部まで運ぶ薬物キャリアとなります。私はこのような薬物キャリアを用いたDrug Delivery System (DDS)という領域の研究を主に行っています。
「物理学」「生物学」「化学」の知識を融合し、薬物キャリアを用いた製剤学的な工夫にて標的部位へのターゲティング能を増大し、効果は強いが副作用は少ない薬の開発に取り組んでいます。
専門領域であるDrug Delivery Systemは、生体内で薬を必要な場所に、必要な量を、必要な時間だけ送達することを目的とした技術です。大学の授業で学んだ際、体の中で時間や空間を制御することで薬効の増大および副作用を減少できることに感動し、この分野に興味を持ちました。患者さんに届ける最終形態を作り上げる、この専門領域に魅力を感じています。
「脂肪乳剤を用いたエビデンスに基づくOver Dose解毒治療の研究」
◆主な業種
(1) 病院・医療
◆主な職種
(1) 薬剤師等
岩手医科大学薬学部のキャンパスの隣には附属病院があり、現場で働く医療従事者とコミュニケーションがとりやすい環境にあります。そのため、現場で起こっている課題や問題について情報を得られる機会が多く、研究テーマに挙げることも少なくありません。実際に臨床で必要とされる、リアルな課題をテーマとして研究ができる大学・研究機関です。
Q1.一番聴いている音楽アーティストは? YOASOBI の『群青』。特に歌詞が好きです。 |
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Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? スーパーの試食販売。自分が売っているものを試食できたり、他の試食販売の方々と仲良くなり試食させてもらえたりして食べたことのないものを食べれました。 |
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Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 筋トレ。頑張った分だけ体が変化していくことが楽しいです。 |
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Q4.好きな言葉は? 「千里の道も一歩から」 目の前にある膨大な仕事や、洗わなくてはいけない100本以上の試験管を見て呆然としますが、始めてしまったら想像よりも簡単に終わる気がします。少し意味は違いますが、何事も一歩踏み出すことで世界が変わるとも思っています。 |