メタ認知を意識して問題を解こう
メタ認知とは
「メタ認知」は、最近はテレビのバラエティ番組でも耳にするようになりましたが、「認知を認知すること」、つまり、自分の認知をより一段高いメタレベルからながめてチェックしたりコントロールしたりする認知機能のことです。
例えば、教科書などを読んでいて「きちんと理解できてないな」と気づいたり(メタ認知的モニタリング)、数学の問題が上手く解けないときに「別のやり方でやってみよう」と自分自身に指示をする(メタ認知的コントロール)などです。
メタ認知がうまく機能しないと、理解していないことに気づかずそのまま読み進めてしまったり、複雑な問題になると何をどうやってやったらいいか考えることができず、行き当たりばったりでやろうとするなど、学習や練習がうまくいかない原因になります。
「頭の中の先生」にアドバイスをもらう
私は小学校や中学校の先生と一緒に、メタ認知をはたらかせて問題を解いたり学習したりする方法を模索しています。研究当初から一貫して行っているのは、児童生徒にメタ認知そのものやメタ認知を意識する必要性、メタ認知をはたらかせる方法(メタ認知的方略、「頭の中の先生」)について教えることです。
ある研究では、小学校5年生にメタ認知を「頭の中の先生」として教え、算数の問題を解く時に「頭の中の先生」に「求めるものは何かな?」「似たような問題を前にやったことはあるかな?」「計算はあっているかな?」などのアドバイスをしてもらい、その言葉をノートに書きながら問題を解こうと促した結果、事後テストで効果が見られました。
私は心理学の中でも比較的基礎的分野である認知心理学が専門で、音楽認知や記憶などの研究をしていました。論文を書く時に「何をどのような順番・構成で書いたら読み手にうまく伝わるか」を意識したり、一方では、趣味のチェロを練習する時に「この部分が弾けるようになるためにはどんな練習をしたらいいか」考えたりなど、メタ認知の重要性について意識することが多くなりました。
北海道教育大学に移ったのを機会に、メタ認知に真剣に向き合おうと思ったわけです。
「小学校の教科学習においてメタ認知を育成するノート指導法の開発」
◆主な業種
(1) 小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1) 小学校教員
(2) 福祉・介護関連業務・関連専門職
(3) その他教育機関教員、インストラクター
◆学んだことはどう生きる?
やはり、小中学校の教員が多いですが、公務員も一定数います。公務員の場合、市町村の福祉課(生活保護や子育て支援等)、児童相談所、少年鑑別所の法務教官などが多いです。
教員の場合、理解の仕組み、記憶における精緻化や体制化の重要性、児童の思考の分析など認知心理学の知識や研究方法が役立っているようです。メタ認知の応用としては、問題を解くときに見通しをもって取り組んだり、ゴールから遡って手段を考えることを促す指導、確認や振り返りを重視する指導などで活かしてくれていると思います。
私が指導している学校教育専攻・教育心理学分野は、他の教育大の教育心理専攻と同様に、小学校の免許取得を目指しながら教育心理学についても専門的に学んでもらおうというコースです。一般大学の心理学専攻に比べると、心理学関連の単位数はどうしても少なくなってしまいますが、学校での児童の学習や行動を心理学的に理解・研究し、教育実践に結びつける機会が多くあります。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 音響学 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? バッハ『ブランデンブルク協奏曲』 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 交響楽団 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? アマチュアオーケストラ、登山 |