テロ現場で使用できる、化学兵器分解物の検出センサーを開発

検出が難しい化学兵器
残念ではありますが、世界のどこかで「戦争」「テロ」などが行われていて、化学兵器が使用されることがあります。化学兵器そのものは分解が速く、気体になりやすいため使用後に検出するのが難しいとされています。
また、検出には大型の装置と電気が必要なため、「戦場」や「テロ現場」で検出することは困難です。
電気のない場所でも検出できて治療へ
そこで我々は、「化学兵器の分解物」を検出することで化学兵器の使用を確認し、被災者に適切な治療を行うことができると考えました。
この検出には「発光」という現象を使用しており、化学兵器の分解物を含んだ被災者の体液(尿・唾液等)をセンサー(我々の作った有機化合物)に加えて、懐中電灯で紫外線(ブラックライト)を照らすと「青色」や「緑色」になる現象を利用することを考えました。
この方法では化学兵器が使用されたことを電気のない場所でも知ることができ、被災者に適切な治療を行うことができます。
センサーが分解物で発光することを発見
ある特定の化合物が含まれているときのみ発光するセンサーは医療診断等に応用されています。偶然、ホスホン酸をセンサーに加えると発光することを発見し、あとで化学兵器の分解物であることを知りました。
いろいろと調べると、化学兵器は検出が難しく、分解物なら検出できると思い、間接的に化学兵器を使用した事を知ることができ、治療に役立つと考えました。研究者は常に何の役に立つのかを考えます。また、世界中で起きていることをニュースで情報収集するのが良いでしょう。

小学校6年生から、トランジスタなどを使って電子工作を行っており、電気・電子の学科に進学するのだと思っていましたが、高校時代に数学のセンスがないことに気づきました。
化学の授業で先生が言った「化学は努力をしていればいつか成功する。才能がなくともなんとかなる」との言葉を信じて化学の道に進みました。大学4年生・大学院生(修士課程・博士課程)のときに寝る時間を惜しんで化学の実験に没頭し、現在に至ります。

「テロ現場で使用可能な化学剤分解物検出法の開発」

◆主な業種
(1) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(2) その他の化学系
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 設計・開発
(3) セールスエンジニア・技術営業
◆学んだことはどう生きる?
私の研究室では、一人一つのセンサー分子(有機化合物)を作ってもらいます。もちろん、これまでだれも作ったことのない化合物です。思ったとおりの有機化合物を作るのは、経験のある人しか作ることができませんが、新しい化合物をつくると新しい性質が見つかることが多いです。企業も化合物を自在に作れる人を求めています。
学生は、わかりやすいプレゼントテーション用資料を作成します。言葉だけで伝えるのではなく、必ず絵を描いて説明することにしています。
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Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 医学 |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? 自転車のロードレース |
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Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? コンサート会場のスタッフ(音響+照明+警備) |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 壊れ物の修理、壊れたコンピュータの修理 |