構造工学・地震工学・維持管理工学

橋梁

地震から橋を守れ! 土木構造物の破壊のメカニズムに迫る


田村洋先生

横浜国立大学 都市科学部 都市基盤学科(都市イノベーション研究院)

出会いの一冊

対称性の破れが世界を創る

イアン・スチュアート、マーティン・ゴルビツキー(白揚社)

この本に私が出会ったのは教員になってからですが、もし高校生の時に読んだらドップリはまったんじゃないかなと思う本です。身近でありながら高校の物理では説明されない「不思議な」現象が、平易なことばで解説されています。絶版になってしまっていますが、中古品ならまだ手に入ると思います。

こんな研究で世界を変えよう!

地震から橋を守れ! 土木構造物の破壊のメカニズムに迫る

鋼材の破壊実験とシミュレーション

「想定外」で命が失われる悲劇を少しでも減らしたい。その想いで私は橋梁などの土木構造物における破壊のメカニズムについて研究をしています。とくに、明石海峡大橋に代表されるような鋼製の橋梁や高架橋を対象に「地震時脆性破壊」のメカニズムについて研究を続けています。

「地震時脆性破壊」は兵庫県南部地震で複数の高架橋で発生しました。溶接部を起点とした破壊で、一度発生すると瞬時に亀裂が進展し落橋など構造物に致命的な損傷も及ぼしうる破壊です。

私の研究室では、「修正ワイブル応力」を尺度として「地震時脆性破壊」の発生条件を解明し、どう構造物を設計すればこの破壊が防げるのかについて、鋼材の破壊実験とコンピューターシミュレーションを駆使して研究をしています。

うまくいったときは、学生と感動を共有

時には、どれほど長い道のりなのか!と思うくらい長く険しい研究ですが、その分うまくいったときの感動は大きいです。

とくに、ある実験結果において破壊が起きるときの「修正ワイブル応力」がほぼ一定であることに気づき、この指標に注目することで破壊が予測できるかも知れないと思い至ったときの感慨はひとしおでした。学生と感動を共有できることもありがたいです。教員も、研究においては学生と同じチャレンジャーです。

研究室が転機、やりがいを感じ研究者へ

高校の頃は物理が好きでした。大学進学にあたっては、土木構造物を対象に物理の知識を使った設計を学べる都市基盤学科を選びました。大学4年生で研究室に入ってからは、得意分野で社会の役に立てることに大きなやりがいを感じて、冒頭の使命感をもって研究者の道を進むことにしました。今はその研究室で教員をしていますが、転機は研究室配属であったと思います。

海外の橋梁調査にも出かけます。万国さまざまな橋を見て歩くことはとても楽しいです。写真は黄金の橋と呼ばれるベトナムの橋です。
海外の橋梁調査にも出かけます。万国さまざまな橋を見て歩くことはとても楽しいです。写真は黄金の橋と呼ばれるベトナムの橋です。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

元々物理が好きだったというのがあります。そもそもコツコツ覚えることが苦手だった私は暗記が少なくて済むという理由から物理にひかれていったと記憶しています。でも、少ない法則から色々な身近な現象が説明できることを知ってさらに好きになりました。

大学進学にあたっては、本屋で大学1年生向けの教科書を読んだりして、昔から憧れていた土木構造物を対象に物理の知識を使った設計を学べる都市基盤学科を選びました。大学では物理や数学を多用する構造工学に興味を持ちました。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「ひずみ速度制御型の高効率な修正ワイブル応力同定試験の開発と溶接部への適用」

詳しくはこちら

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もっと先生の研究・研究室を見てみよう
純粋な研究ではありませんが、研究室の学生たちとアジア・ブリッジ・コンペティションに参加しています。鋼製の縮小橋梁(といっても4mとかある!)をみんなで考案し、構造設計し、製作し、耐荷性能や美観、架設パフォーマンスなどを競います。写真は架設競技の様子です。速さと正確さ、そしてチームワークが鍵です。
純粋な研究ではありませんが、研究室の学生たちとアジア・ブリッジ・コンペティションに参加しています。鋼製の縮小橋梁(といっても4mとかある!)をみんなで考案し、構造設計し、製作し、耐荷性能や美観、架設パフォーマンスなどを競います。写真は架設競技の様子です。速さと正確さ、そしてチームワークが鍵です。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 交通・運輸・輸送

(2) 建設全般(土木・建築・都市)

(3) 電気・ガス・水道・熱供給業

◆主な職種

(1) 保守・メインテナンス・維持管理、運用・システムアドミニストレータ・サービスエンジニア

(2) 生産管理・施工管理

(3) 設計・開発

◆学んだことはどう生きる?

NEXCOなどの高速道路会社やJRなどの鉄道会社で土木技術者として活躍する卒業生が近年増えています。もちろん、建設会社や設計コンサルタント会社で活躍する方も今も多くいます。大手企業のなかで、大学で学んだ土木構造工学に関する知識や研究の経験を活かし、リーダーシップを発揮して頑張っていて、今も研究室や同窓会に顔を出してくれる卒業生が多くいます。

先生の学部・学科は?

横浜国立大学の都市基盤学科では、教員や卒業生のネットワークで現場見学会が盛んに開催されており、建設中の橋梁やトンネルといった一般の方がなかなか立ち入れない現場などに頻繁に訪れることができます。現場でナマの構造物に触れると、大学で学んでいることが実務にどのように活かされるのかといったことや、将来自分がどのように社会で活躍するのかといったイメージが湧いてくるはずです。

このようなことができるのは、新しい構造物も古い構造物が豊富にあり、多くの卒業生が近隣で活躍している大都市横浜に大学があるおかげです。留学生もたくさん在学していて、国際感覚を身に着ける機会にも恵まれています。

大学では大型試験機を使って様々な実験を行います。とくに地震時脆性破壊の研究でも必須の破壊実験は、実際に使われている構造物に大きな力が加わるとどのように壊れてしまうのか予め知るうえで大いに役立ちます。構造物が壊れる様子は社会に出るとなかなか見れないので、学生に体験して欲しいものの一つです。
大学では大型試験機を使って様々な実験を行います。とくに地震時脆性破壊の研究でも必須の破壊実験は、実際に使われている構造物に大きな力が加わるとどのように壊れてしまうのか予め知るうえで大いに役立ちます。構造物が壊れる様子は社会に出るとなかなか見れないので、学生に体験して欲しいものの一つです。
先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

東京湾をつないだ男たち 巨大事業を支えた技術者の記録

日経コンストラクション(日経BP)

東京湾にかかる「東京アクアライン」は全長約15キロの有料道路です。10キロの海底トンネルと5キロの橋梁からなり、調査に約20年、建設に約10年を要す巨大事業でした。そのアクアライン完成までのドキュメントです。

一問一答

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