トンボの翅は軽くて丈夫! その特性を風力発電に活用
流線形ではなく凹凸を持つ独特の翅
飛行機、新幹線やスポーツカーなど乗り物の多くが滑らかで丸みを帯び、尖った形状(流線型と呼びます)をしています。この形状は、空気の抵抗を弱める他に、浮かせたり、または地面に押しつけたりする力などをつくることができます。
機械製品の多くは、このような利点から流線型となることが多いのですが、私たちが注目しているトンボは翅の断面形状が流線型ではなく、凹凸を持つ独特な翅になっています。
進化の過程で得た最適な形状
先程の流線型は流体力学の研究の中で実験や計算を繰り返し、抵抗の少ない形状という答えを得ましたが、トンボは異なる形状を進化の過程で得ていたことになります。
トンボはなぜ、この形状を進化の過程で選んだのか?という疑問が生まれますが、長い年月をかけ、絶滅と繁栄を繰り返した生物の中で現在まで生存しているトンボにとっては、結果的にこの凹凸を持つ翅の形状が最適であったと言え、人間が考えとは異なる形状になったということがわかります。
そよ風でも安定した発電
生物の進化の過程で得た技術を使って、新しい視点でモノづくりができないかと考え、現在、新しい多くの製品が生まれ、生物模倣技術と呼ばれています。
私たちの研究は、トンボの翅を風力発電装置のタービンに適用したものになり、そよ風(0.5~5.0m/s)でも安定した発電を行うことが可能になっています。トンボの薄くて軽いにも関わらず、非常に丈夫であることを活用し、この形状を風車のタービンに利用することに注目しており、研究の中では、より最適な凹凸の形状の配置と風車の高効率や発電した電気の活用方法の開発などを進めています。
上記で紹介した研究テーマは、小幡章先生から引き継いだものであり、10年ほど前に先生の講演を偶然、聴講させていただいたことがきっかけになります。実際に先生の研究を見学をさせていただき、アイデアを形にしていく研究のスタイルに共感することが多かったことなどもあり、今の大学に異動しました。先生からも頂いた大切な技術を引き継ぎながら、現在まで研究を進めています。
「強風下においても壊れない柔軟性を持つコルゲート翼風車の凹凸形状の設計手法の解明」
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「14.ロボット・自動車・機械」の「56.機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)」
◆主な業種
(1) 自動車・機器
(2) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
(3) その他の機械・機器
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) 保守・メインテナンス・維持管理、運用・システムアドミニストレータ・サービスエンジニア
(3) 生産技術(プラント系)
私が現在所属している学科は、機械電気工学科になります。工学部は、一般に機械工学科と電気工学科が分かれていますが、私が所属している学科はこの2つを一緒に勉強する学科になっており、ロボットやエネルギー技術など機械と電気の垣根を外しながら勉強する学科になっています。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 高専出身なので、高校受験時に機械工学を選びました。普通高校に進学して、じっくり将来の進路を考えてみる人生だったら、どの進路が良かったかなと思うことがあるのですが、今の研究や仕事が好きなので、また機械工学を選びたいなと思います。 |
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Q2.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 自分の家をDIYで修復したり、風車や水車を作っているときが楽しいです。 |
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Q3.好きな言葉は? できることをちゃんとやる。できないことをあきらめずにやる。 |