「お祖父さん」の呼び方に、国によって異なる家族観がみえる
血縁関係を重視する傾向が、呼び方に現れる
家族はどの時代やどの社会にも存在し、一般に父、母、子どもからなる当たり前のような小さな集団として理解されています。ただし、よく見れば、家族意識が時代や社会によって多少異なっているのが現状です。
その違いは、しばしば家族関係を示す名称体系の多様性からでも明らかになります。例えば、「お祖父さん」と「お祖母さん」に関して言えば、中国語と韓国語では、父親の父母と母親の父母を区別して呼ぶ傾向があります。
それは、両国の伝統家族意識において、血縁関係が日本よりはるかに重視された傾向に由来しています。このような事実を知って、家族意識とその言語に反映されているあり方との関係性についてさらに学びたくなりました。
ユーラシア地域の家族観の違いを研究中
その関係で、出身国であるハンガリーで習った言語学と、日本に来てから京都大学で学んだ社会学を基に、家族に関する「言説(議論)」の国際的な異同に焦点を当てる研究にしました。
なお、家族に対する理解が、実際家族研究に専念する研究者の間でも国によって多少異なっていて、家族のゆくえに関するグローバル的な理解が未だにできていないことに気づきました。
この現状を改善するために、現在、ユーラシア地域を事例に、家族に関する社会学的な理解の異同を明確にする先駆的な研究を行っています。このような比較研究によって、他国との異同から日本についても再発見することができるので、研究を進めれば進めるほど、その楽しさが深まります。
◆グローバル社会に対する理解を促進する
グローバル化する現代社会では、自国以外の世界についても正しく理解する必要があります。そこで、世界諸国の社会的変動がある共通したパターンに一本化するか、それとも各国が自らの特徴を保ちながら一本化しない傾向に進むかが、グローバル化研究の一課題です。
社会の一側面である家族の場合でも、問題は同様です。私が進めている家族の比較研究は、国内では見えにくい家族変動の文化的多様性を対象に、上記の課題に貢献しようとしています。
「家族変動と個人化に関する社会学的な言説の国際比較研究:ユーラシア地域を事例に」
◆3・4年生向けのAdvanced Seminar(専門演習)では
社会学的な視座を用いて学生たちに社会の多面性を実感させ、社会問題に関して自発的に考える能力を高めることを重視しています。
◆日本のどこがユニークなのか どこが他国と共通しているのか(立命館大学国際関係学部)
ゼミでは、現在まで日本人の学生とともに、留学生も数多く指導してきました。中には非常に興味深い卒業論文を書く人も少なくありませんでしたが、特に印象的な卒業生は、イギリス出身の留学生です。
彼は学部生の時も、大学院生の時も私のゼミに属しており、真剣に日本の文化を勉強することに取り組んだ優秀な学生でした。彼はゼミで勉強したことを仕事にも生かしたいと考え、卒業後は英語―日本語の通訳として、日本の行政機関に就職しました。
立命館大学国際関係学部では、日本人の学生と留学生がともに勉強できる環境が整備されています。政治的、経済的、社会文化的なアプローチから、日本、そして国際事情への理解を深める学際的な教育と研究が行われています。
私が担当している授業では、社会学と言語学的な視座を用いて、日本と他国の社会的状況に対する考察力を強化することに重点を置き、真のグローバル人材を育成することを目標としています。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? やはり今と同じく社会学と言語学を学びたいです。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 日本に来る前にトルコ、中国と台湾に留学したことがあります。今度中央アジアと北米に行ってみたいです。 |
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Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は? フランク・アバグネイルの自伝小説をもとに製作された、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』。 |
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Q4.熱中したゲームは? 高校生の時はパソコンゲームで遊ぶよりも、パソコンゲームの作成のほうに熱中していました。 |
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Q5.研究以外で楽しいことは? 料理に興味があり、たまにハンガリーの牛肉スープやパンケーキを作っています。 |