理論経済学

災害ボランティア

本当に必要な時に災害ボランティアが集まる仕掛け作り


竹内あい先生

立命館大学 経済学部 経済学科(経済学研究科 経済学専攻)

出会いの一冊

1984年

ジョージ・オーウェル、訳:高橋和久(早川書房)

監視社会を描いた近未来小説。ある思想や主義を方向づけるものは何かという、たいへん興味深いテーマが論じられています。

こんな研究で世界を変えよう!

本当に必要な時に災害ボランティアが集まる仕掛け作り

悩ましい被災地のボランティア不足問題

私の行っている研究をボランティアの例で説明しましょう。近年、日本でも寄付やボランティアをする方が増えてきました。それを反映してか、災害直後にボランティアが多すぎるというニュースが流れるようになりました。

一方で、少し日が経過するとボランティアが足りていないというニュースも流れます。私は、この現状はもったいないと思いました。

災害直後のボランティアの一部がもっと後の時期に来ていたら、後半のボランティア不足が改善します。また、ボランティアの方も自分の力をより発揮できるので、より多くのやり甲斐を感じられるでしょう。

ボランティアの総数は変わらなくても、一部の人の時期をずらすことができれば、みんなにとってより良いWin-Winの結果を導くことができるのです。

warm heartを無駄にしない

では人々がボランティアを行う時期を、誰かに強制されることなく、自然に調整するにはどうすればいいでしょうか。実は、この仕掛けづくりはなかなか難しいのです。

そもそもボランティアや寄付などは、他の人に任せて自分はやらない「ただ乗り行動」を人は選択しがちです。ボランティアを人が行う上では、他の人や社会のためにという利他性・向社会性、つまりwarm heartが重要です。

しかし、時期の調整に焦点を当てcool headを刺激するとwarm heartが抑制されるのか、そもそもボランティアをしてくれる人が減ってしまう可能性があります。warm heartは増やし、調整によって無駄を減らす仕掛けづくりを目指し、研究を進めています。

立命館大学経済学部の実験室CHOCOLAです。 普段はこのような場所で経済学実験を行い、人々の行動に関する分析をしています。 コロナ禍では対面で実験を行うのが難しくなってしまったので、オンラインで実験をする方法を勉強しています。
先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「寄付行動などに内在するただ乗り問題と協調問題」

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ゼミ生有志と高知市中央卸売市場を見学した時の一枚。様々な制度が効率性や公平性に与える影響に関心があるので、競りの研究もしています。日本の競りは財や場所によって様々なローカルルールがあり、とても面白いです。
先生の学部・学科は?

経済学部には様々な分野が存在します。立命館大学は、基本的には「広く浅く」で、様々な分野の先生が各1人、2人いる状態です。私の主な専門は「行動経済学」「実験経済学」です。この分野を教える大学は、日本全体を見てもまだ多くはないです。そんな中で、立命館大学は「行動経済学」の講義・専用の経済実験室・経済学実験ができるゼミが複数存在するなど、勉強しやすい環境が整っています。

先生に一問一答
Q1.一番聴いている音楽アーティストは?

Savage Garden。アルバムであれば『Affirmation』がおすすめです。

Q2.熱中したゲームは?

シリーズは、『世界樹の迷宮』、『Fire Emblem』が好きです。作品としては『クロノ・トリガー』と『ファイナルファンタジーV』が好きでした。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

アーチェリー部。体育会系です。大学生の時は、勉強より部活重視でした。

Q4.研究以外で楽しいことは?

旅行と食べ歩き


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