教えることで自分自身が学ぶ。「利他」による教え合いとは
他人のために自分が尽くす「利他」
この研究は、私たちが小学校、中学校、高校、大学など、普段の授業で当たり前のように目にする教え合いについて、利他という視点からもう一度考え直してみるものです。
利他とは仏教用語で、他人のために自分が尽くすことを意味しますが、例えば稲盛和夫氏はこの考えを自身の経営哲学として取り上げています。
できる生徒ができない生徒に教えればいいのか
できる生徒ができない生徒にやり方を教えるのが教え合いだというのが一般的な理解だと思いますが、これは利他という考え方のほんの一部分しか実現していないと思っています。
例えば、できる生徒ができない生徒に一方的に教えることで、できる生徒は何か得をするでしょうか。そもそもわかっていることを説明するだけですから、あまり多くは学べません。
反対に、できない生徒はどうでしょう。わからないことを教えてもらってありがたいと思えたとしても、自分が得意でないこと、苦手なことを一方的に教えられて気分が良いでしょうか。みじめになるだけだと思います。
そもそも、本来は学校の先生の教え方が上手ければ、みんなわかるようになるはずで、そんな先生の教える能力が低いために、できる生徒が手伝いをさせられるような構図が良いはずがありません。
単なるgive & takeの域を越えるために
本来、コミュニケーションは平等で、利他的です。自分だけが一方的に教えたり、逆に教えられたりしません。そんなコミュニケーションは決して長続きしません。
教えるばかりではなく教えてもらうし、教えてもらったらお返しに自分の得意なことを教えるはずです。そうしてコミュニケーションはやればやるほど活性化し、単なるgive & takeの域を越え出ます。
教育での利他を模索し実践
他人のために一生懸命になることで、実は自分が一番学べるということが利他の一番重要なところです。
なぜなら、他人の役に立つこと、それは実はとても難しいことだからです。だからこそ他人のことを真剣に考え、想像し、相手に喜んでもらえるよう頑張ります。これがとても良い学びのサイクルを生みます。
まだ教育には利他が定着していないと思っています。単なる教え合いは間違っていると思っています。どういった方法で利他を実践することが真に有意義であるか、日々思考と実践を続けています。
SDGsについて書いた記事を紹介します。
「そのSDGsに魂はあるか?」(立命館大学Sustainable Week 実行委員会)
◆先生が心がけていることは?
一人一人がマイプロジェクトを持ち、SDGsを自分ごととして捉えられるための教育、普及活動を行っています。
「教育的ダイナモとしての「利他」精神の言語哲学的考察とその還元:大学英語教育を例に」
近藤悠介
早稲田大学 グローバルエデュケーションセンター
英語テストの自動採点の専門家として、研究から実装まで幅広く行っています。
先生とは大学英語教育について、その問題、改革の必要性、あるべき姿など、様々に議論を続けてきました。表面的なことだけでなく、その根本について考えている先生です。
安田優
関西外国語大学 外国語学部 英米語学科/外国語学研究科 英語学専攻
英文学社会学の視点から、現実社会を分析しています。真に役立つ英語教育、実力を伸ばすための英語指導において、多くを教えていただきました。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? イギリス。かつて2年ほど住んだことがあり、とても良い印象があるから。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? 中島みゆき。特に、『最後の女神』。 |
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Q3.熱中したゲームは? 『桃太郎電鉄』 |
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Q4.大学時代の部活・サークルは? 国際問題について皆で持ち寄ってディスカッションする、国際問題研究会というサークルでした。 |
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Q5.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 塾講師です。大学受験生を対象に英語を教えていました。浪人生は自分より年上、現役生でも1つ下。楽しく得難い経験でした。 |