社会をましにするための人権教育を小中学校で実践
社会を変えていく力を育てる
人権教育というと「当事者」の話を聞き、「差別はいけないと思いました」という感想文を書いたり(書かされたり)と、なんだか堅苦しくて、時には押しつけがましく感じる授業を思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかし、私が研究している人権教育は、「社会をましにする」ための知識や行動力を育む学習です。「まし」にするとは、一人ひとりの人権が大切にされ、自分らしい生き方を追求できるようにすることです。
残念ながら私たちの社会には、例えば障がい者や性的マイノリティの人、外国にルーツのある人などが生きにくい「仕組み」があります。彼らの声を聴き、社会の仕組みを変えていく力を育てるのが、人権教育です。
「一人ぼっちのいないまちづくり」の取り組み
私は、この人権教育のカリキュラムを小中学校の先生や地域の方々と一緒に作り、その成果を検証し、より効果的な授業を作り上げる研究を行ってきました。また、研究では、多くの教育実践から共通部分を見つけ出し、一般化し、意味づけたりもします。
授業実践例には、中学生が子ども食堂に遊び場を作ったり、引きこもり経験者と交流したりする「一人ぼっちのいないまちづくり」や、自分たちの学校を、誰にとっても安心・安全な空間にすることをめざす「セーフスクール」の取り組みがあります。
この研究の醍醐味は、社会を良くするんだという意欲を持って学ぶ授業を作るところにあります。現在、大学でもこうした授業を作っていきたいと、研究の範囲を広げているところです。
テストのための勉強ではなく、自分たちの町をより良くするという「真正の学習」を作り出すことで、教育の質を高めるとともに、意欲の低い子どもたちを学習に向かわせることが期待できます。
どんな境遇の人にも住みやすい社会について考える行動することで、誰もが安心して持ち味を発揮できるまちづくりが促されます。
「大学における人権教育の現状と課題に関する研究」
自分とは違う環境で育ち、様々な生き方をしている人の、価値観や行動様式(文化)や生きにくさ(低学歴、貧困、障害、差別…)に注目して、世の中の出来事を理解することを目指して、研究に取り組んでいます。
◆主な仕事
(1) 中学校、高等学校の教員
(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等の職員
(3) 学習支援業(塾・各種教室・通信講座など)の教員
◆学んだことはどう生きる?
中高の教員も多いですが、民間企業で人事や営業などに従事している卒業生もたくさんいます。ゼミで人権問題や貧困問題を学ぶことが多いので、教員になった人は、人権教育に取り組んだり、子どもの困難な生活背景に敏感な教員として活躍したりしています。また、発達障害のある大学生の就職支援のNPOで活躍する卒業生もいます。
関西大学文学部教育文化専修は、教育や文化を通して、生涯にわたる人間形成を研究します。学校教育をはじめ、家庭教育、社会教育、企業内教育、マスメディア、若者文化、恋愛など、様々なテーマが研究対象となります。
また、教育は経済、政治、福祉、行政、社会慣習といった広い意味での文化とも密接に関わっているので、教育と文化の関係にも焦点を当てて研究を進めています。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 熱帯雨林で新薬開発。 |
|
Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 南の島。暖かくてのんびり暮らせるから。 |
|
Q3.一番聴いている音楽アーティストは? 中村敦。特に『転石』。 |
|
Q4.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『シング・ストリート 未来へのうた』 |
|
Q5.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? JR特急の清掃。 |