「敏感な人」の心のメカニズムを探り、悩みに終止符を打つ
他人の言動に反応しやすい
私は、昔から他人の言動に反応しやすく、すぐに落ち込んでしまうような、ストレスに弱いタイプでした。そんな嫌な自分を変えようと、いろいろと試みましたが、あまり効果はありませんでした。その後、人の心を知るために心理学の研究を始め、同時に学生の悩み相談の仕事にも関わるようになりました。
そんな折、米国で注目され始めた敏感な人(HSP)という概念を知り、私自身を的確に説明していることに驚きました。
うつ病や自死に至ることも
敏感さは生まれつきのもので、うつ病など心の病にかかりやすく、病がひどくなると自分の命まで捨ててしまうことも少なくないといいます。反面、人の心の痛みに共感しやすく、また芸術の分野で活躍するなどの素晴らしい資質もたくさんあるのです。
私はその時、敏感な人を何としてでも救うのだと決意しました。そのためには、客観的な研究を通した冷静な分析が必要だと直感したのです。
敏感な人の考え方の癖
そこでまず、敏感さの程度を正しく評価する日本人向けの調査方法がなかったので、それを作ることから始めました。次に、敏感な人にはどのような考え方の癖があり、どのようにして気分が落ち込んでいくのかなどの分析をしています。その心の変化のどこかを変えることができれば、最悪の状態までいくのを止めることができるからです。
敏感な人たちの素晴らしい資質をご本人に知っていただき、自分を追い詰めるような生き方に何としても終止符を打っていただきたいと願い、研究を続けています。
人は様々です。人種、言葉、文化、様々な個人差など。このような多様性があるから、人間は面白いのだと思います。想像してみてください。人がみんな同じ言葉を話し、同じ生活をし、同じような性格をしていたらどうでしょう。私はいろいろな個人差が、人生を豊かにしていると確信しています。
「個人の敏感さの程度」も、その個人差のひとつです。敏感な人がその豊かな感性を活かして、芸術や音楽など様々な文化を生み出してくれます。敏感な人が、辛い思いをしている人に寄り添ってくれるのです。
敏感な人は生きづらさを感じている人が多いので、社会全体でその価値や存在意義を認めてあげて、心から応援してあげてほしいと思います。
◆先生が心がけていることは?
男女や年齢に関係なく、皆さんへの尊敬を込めて「さん」付けで呼ぶようにしている。
「感覚処理感受性に着目した抑うつ低減モデルの構築―将来的な自殺予防に向けて―」
◆主な職種
(1)大学教員
(2)研究所研究員
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? いろいろな国で過ごしましたが、日本が一番いいですね。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? ユーミン。『青いエアメイル』が好きです。 |
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Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『アバウト・タイム 愛おしい時間について』 |
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Q4.大学時代の部活・サークルは? 陸上部で短距離をやってました。 |
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Q5.会ってみたい有名人は? 新垣結衣さん |