発達障害児童のために、音響技術で静かなスペースを
音声が混じり合うと“騒音”に
学校の教室で、騒がしくて耳を覆いたくなったことはありませんか。情報の伝達、コミュニケーションの道具として不可欠な音声ですが、多くの人が発する音声が混じり合うと、“騒音”となります。
騒音から逃れたくなって、教室から飛び出す子も
音の受け取り方は人によって様々で、騒がしいところで強い疲労感を感じる人や、嫌いな音が聞こえると小さな音でも気になってしまう人、パニックを起こす人もいます。騒音から必要な音声を拾い出して聞くことが難しいという人もいます。
特に、自閉症や多動性障害など、発達障害を持つ人には、通常の人とは異なる聴覚特性を持つ人が多いことが知られてきています。教室に入りたがらない、突然教室から出て行ってしまう、叫び声をあげるといった行動は、「騒音から逃れたい」心理の現れという場合もあるのです。
コンサートホールの技術を取り入れる
教室の騒がしさのために、学習に集中できない人に何をしてあげられるのか。実は、建築の音のコントロール技術にそのヒントがあります。音を遮る“遮音”、音の反射を防ぐ“吸音”を上手に教室内に取り入れることで、平静を取り戻せる静かな居場所を提供したり、必要な音に注意を向けやすい環境を作ったり、学習環境を改善できる可能性があります。
この研究では、これまでコンサートホールや音楽スタジオといった空間の設計のために培われてきた建築音響技術を応用することで、様々な特性を持つ子どもたちが最大限のパフォーマンスを発揮できる学習環境づくりを目指しています。
「発達障害児童・生徒の感覚特性の理解に基づく教室の音環境整備に向けた研究」