中国残留孤児の人生を通して、人間の孤独に迫る
中国残留孤児への分析は孤独研究の有効な手法
私は現代人の共通した心情の一つである孤独に強い関心を持っています。研究する社会集団によって、得られる孤独の実態が異なり、現代人と現代社会の本質に関する理解も異なります。私は中国残留孤児という移動する社会集団に関する孤独研究がより有効な研究手法だと気がつき、研究を行っています。
インタビューで「人間の孤独」を実証的に究明
中国残留孤児、中国人養父母、中国人兄弟姉妹には中国語で、日本人ボランティアなどに対して日本語で、長年、大量のインタビューを行いました。インタビューの過程において、私は中国残留孤児の波乱万丈な人生のドラマに感動を覚え、人間の孤独という普遍的な問題を、インタビューに基づいて実証的に究明しようと考えました。
中国残留孤児問題は人類史の歴史上では一回限りの特殊な社会現象にすぎませんが、日本と中国との近代化の格差という社会変動の普遍的な現象の産物だといえます。
帰国しても依然と孤独は続く
「祖国」日本に帰国する前、中国残留孤児は「異国」中国で、中国人として生きてきました。しかし、子どもの頃に自分が日本人の子どもだとわかった中国残留孤児は、中国社会の中で孤独と疎外の心情を抱きました。
主に1980年代日本に帰国し、中年になった彼らは、「母国語」である日本語を自由に話せないため、日本社会にうまく融け込めず、依然として孤独と疎外の心情を持っています。
老年期に入った彼らは、その心情がより強烈になっています。個人の人生が国家に翻弄されてきた中国残留孤児は、現代人の縮図であり、「国家は幻想の共同体だ」という現実を冷酷に示した存在です。
<本研究の成果は英文の単著として英国のRoutledgeという有名な出版社で出版されます(Jiaxin, Zhong, Japanese War Orphans: Abandoned Twice by the State, Routledge, 2022. )。>
貧困の撲滅や、保健・福祉の向上に関する実態の調査と政策提案に貢献できます。すべての社会における貧困の撲滅と保健・福祉の向上は、人類にとってきわめて困難な課題です。国内では社会保険と公的扶助との有機的な結合が重要ですが、ウガンダでの調査研究から見ると、国際的には途上国における産業育成と人材養成が重要な克服策です。
「<老年期の中国残留孤児>の孤独の実態と原因に関する研究」
◆講義「社会福祉政策論」では
社会福祉政策の形成と発展の過程を「十五年戦争」などの視点から講義し、高齢化とグローバル化における社会福祉政策のゆくえを探る。
◆主な業職種
(1) 商社(会社員)
(2) 福祉(施設職員)
(3) 官庁・自治体(公務員)
◆学んだことはどう生きる?
国際性を重視してきたので、海外との関連のある商社に勤めるゼミ生が多いです。また、福祉を専門的に研究しているので、福祉関連の公務員として務める人もいます。
明治大学政治経済学部は、政治学・経済学・社会学・地域行政などを横断的に学習することができるところに特色があります。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? やっぱり社会学。面白いから。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アフリカのウガンダ。2回聴き取り調査に行った時、その文化・環境をもっと知りたいと思ったから。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? バスケットボール。楽しかった。 |
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Q4.研究以外で楽しいことは? 客家の武術、書道、漢詩創作。 |
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Q5.会ってみたい有名人は? 山口百恵 |