大災害を乗り越える、行政まかせではない市民防災を作ろう
政府・自治体の防災対応の研究
日本は、東日本大震災や阪神淡路大震災、大規模水害や火山の噴火など、多くの激甚災害に見舞われてきました。美しい国土や四季が見せる姿を誇る日本ですが、その一方で、日本人はこうした厳しい災害を乗り越えていく必要があります。
災害が起こるたびに、政府や自治体の対応が問題にされ、その重要性には疑う余地はありません。東日本大震災では、未曾有の災害に行政がどのように立ち向かったのかが注目され、大学や研究機関によって多くの研究が進められてきました。
東日本大震災では行政も被災
私の研究室でも、自治体と自衛隊との関係、議会の対応など、研究を進めてきたところです。それに加えて、今年度からは、「市民防災」をテーマとしてとりあげ、市民自らがどのように災害に立ち向かっていくべきか、その体制をどのように作っていくのかを研究しています。
すでに、1995年の阪神・淡路大震災の時から、こうした市民防災への関心が高まっておりましたが、東日本大震災では、行政も被災して大打撃を受け、市民も協力して災害に立ち向かわなければ、危機を乗り越えられない事態が生まれています。
防災に不可欠な自治会・町内会
諸外国では、civil defenseという仕組みが確立されてきており、さまざまな災害に市民と行政が連携して対応する工夫がなされています。この言葉からはスイスの取り組みが有名ですが、今は、これも「民間防衛」から「市民防災」にシフトしてきているようです。
日本では、自治会・町内会の防災への取り組みや、消防団など、従来から市民が防災に携わる仕組みが存在してきましたが、近年の激甚災害は、そうした仕組みのバージョンアップ、パワーアップを不可避にしています。
行政の仕事の民間化や「新しい公共」
一方、私の研究する行政学の分野では、行政の役割が拡大し、民間企業やNPO、市民などに公共的な役割の拡大が求められています。行政の仕事の民間化や「新しい公共」ということがいわれるようになって、随分と時間がたちました。
こうした背景もふまえ、日本における「市民防災」のあり方を研究することが重要なのであり、諸外国の事例を比較・検討しながら、政策提言を進めることが必要になっています。
災害は繰り返される
日本は、その国土の特徴から、美しい四季と風光明媚な景色を楽しめる国ですが、その反面、厳しい災害が繰り返し訪れてきました。
さらに、異常気象や感染症など、世界規模での災害が襲ってきます。行政による対策は当然のことながら、市民もこうした災害を乗り越える備えを政策的に準備する必要があるのです。安心して暮らせる世界を行政と市民が創るのです。
世界には、貧困や飢餓、暴力など、様々な課題があふれています。持続可能な開発を進めるためには、国家間の連携・協力のみならず、民間企業やNPO・NPOのパートナーシップが求められています。今後も、多くの災害や感染症の拡大など、様々な問題が予想される中、多様なパートナーシップによって課題解決を目指す必要があります。
「大規模災害時に対応した『市民防災』体制の構築に関する研究」
◆主な職種
(1) 国家公務員:内閣府、総務省、財務省の総合職・一般職
(2) 地方公務員:都道府県、市区町村の行政職員
(3) 鉄道:JR東日本、東武鉄道、西武鉄道の社員
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? フランス。古い歴史と伝統・文化をもち、「自由・平等」を掲げる市民社会が形成されているところに魅かれます。 |