教育学

学校改革

子どもと教師と親の「学びの共同体」、アジアで急速に発展


佐藤学先生

学習院大学 文学部

出会いの一冊

学校を改革する 学びの共同体の構想と実践

佐藤学(岩波ブックレット)

21世紀の社会が求める学校教育の姿を示し、著者が提唱する「学びの共同体」の学校改革が、どのように国内外の授業と学びのスタイルを変化させているのかを紹介しています。

これからの社会は、一人で知識を覚え技能に習熟する学びではなく、知識を活用し協同で探究し合う学びが求められています。その改革が国内の学校から海外への学校へと拡大した秘密が述べられています。ワンコインで買えるおすすめの本です。

こんな研究で世界を変えよう!

子どもと教師と親の「学びの共同体」、アジアで急速に発展

子どもの学ぶ権利、教師の成長、親の協力

世界の教育は、1989年に冷戦構造が崩壊して以降、グローバリゼーションによって歴史的転換を起こしています。私たちがなじんだ学校は、どの国でも140年前に成立したシステムですが、この30年間、21世紀型の学校へと大きく転換してきました。

私の研究が開発した「学びの共同体」の学校改革は、その最先端を拓く学校教育のヴィジョン、哲学、活動システムです。一言でいえば、一人残らず子どもの学ぶ権利を保障し、教師が専門家として成長し合い、ほとんどの親が協力し合う、を意味しています。

国内3千校以上で改革のネットワーク

この改革は、25年ほど前に日本でモデルスクールが創出され、現在、国内の小学校、中学校、高校の3千校以上が改革のネットワークを形成しています。さらに、この改革は最初はアメリカとメキシコに普及し、20年前からは中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、ベトナムなどアジア諸国で爆発的に普及し、アジア諸国で最も希望のある改革として評価され発展してきました。

21世紀は教育が社会を動かす

21世紀は、教育が社会や政治や経済や文化を動かす時代です。学校の改革は決して容易な事業ではありませんが、この研究は、教育が世界を変えるという夢と希望を実現した学問研究の一つだと思います。

学生、院生たちと世界教育学会10周年記念大会
学生、院生たちと世界教育学会10周年記念大会
SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

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SDGsの17の目標のうち、教育目標は「4.質の高い教育をみんなに」ですが、17の目標すべては、これらの目標を掲げた教育なしには実現できません。SDGsは、教育の一部ではなく、これからの教育における中心目的です。

先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「学校改革と授業革新のアジア・ネットワーク―学びの共同体の実証的研究―」

詳しくはこちら

注目の研究者や研究の大学へ行こう!
どこで学べる?
先生の授業では

◆初回授業では

世界各国の教育改革に関する基礎知識、国内外の大学教育で取り上げられている代表的な教育学の専門的知識と授業実践の実例については、必ず紹介するようにしています。

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北京市の学校にて
北京市の学校にて
先輩にはこんな人がいる ~就職

◆主な仕事

(1) 小・中学校、高等学校の教員

(2) 大学等、研究機関の教員・研究者

(3) 官庁、自治体などの法務、司法など専門職

◆学んだことはどう生きる?

私は東京大学で24年間、学習院大学で9年間教えてきました。卒業の多くが小学校、中学校、高校の教師になり、大学院で教えた多くの学生が大学の教育研究者、文部科学省や都道府県市町村の教育委員会、そして民間の教育企業や研究所で活躍しています。

先生の学部・学科は?

文学部教育学科は小学校教師の養成を目的とする学科であり、教師を志望する学生のほぼ100%が採用試験に合格して活躍しています。教育学科では、教育学の深い専門的知識と豊かな実践的研究との統合を目指しています。

中高生におすすめ

夜と霧

ヴィクトール・E・フランクル、訳:池田香代子(みすず書房)

ユダヤ人虐殺という極限状況を生き抜いた哲学者の記録であり、人間とは何か、人間らしく生きるとはどういうことかを考えることができます。


世界がもし100人の村だったら

池田香代子、訳:C.ダグラス・ラミス(マガジンハウス)

世界には約70億人の人々が暮らしています。その現実を、100人の村で示してあり、人種の分布や貧困や差別の現実を知ることができます。


子どもたちに語る 日中二千年史

小島毅(ちくまプリマ―新書)

日本と中国との古代から現代までの交流の歴史。最先端の研究の成果を盛り込んで、わかりやすく興味深く叙述しています。日本の歴史それ自体を見直すことができる、おすすめの本です。


先生に一問一答
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

教育学

Q2.一番聴いている音楽アーティストは?

ピアニストのピーター・ゼルキン。バッハの『シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調)』をよく聞きます。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

セツルメント活動

Q4.研究以外で楽しいことは?

クラシックギター、バイオリン、ピアノの音楽演奏。


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