なぜ、人は操られ支配されるのか
西田公昭(さくら舎)
「操られ支配される」というと何か特別なことのようですが、ほんのちょっとしたことでも、自分が思いもよらないところで、私たちの行動は知らず知らずのうちに身の回りの様々なことに影響を受けています。
この本は、社会心理学の知識を横断的に解説しながら、他者から影響を受ける仕組みを理解することができます。また、私たちは意図せずして他者を操る立場になってしまうこともあります。今、私が研究している社会の分断は、例えばこの本に出てくる「線引きをしたがる」という人間の特徴から考察することもできます。どうやったら人々が協調的に暮らしていけるのか。そうしたヒントもこの本から見つけることができるでしょう。
現実世界をシミュレート、分断された社会を統合するゲームを開発
現実を模したゲームで行動の変化を見る
社会心理学の実験といえば、現実を模した状況を設定し、研究者が実験条件を設定し、実験参加者の考え方や行動の変化の違いを見ることで研究が進められています。
それに対して、私は現実を模したゲームを開発し、ゲームの設定やルールの違いによってプレーヤーの行動がどう変化するか、さらにプレーヤーはそこで何を学ぶのかということを検討しています。
ゲームで現実を捉える視点が変わる
ゲーム(の世界)は現実世界を模したものであり、ルールを理解することは単純化した現実を理解することです。「もし世界がこうだったら」という状況設定のもと、ゲームでどんな結果になるのか知ることができます。
ゲームと現実は異なりますが、ゲームと現実との共通点を考え、ゲームが現実の何を表しているのか、その対応関係をつきつめると、現実を捉える視点も変わってきます。
いかにゲームとして表現するか
現在、社会の分断と統合をゲームとして再現し、なぜ社会は分断していくのか、分断した社会を統合していくにはプレーヤーに何を気づいてもらえれば良いのか、そのためにゲーム設定やルールをどのように工夫すれば良いのかを考えています。
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界は様々な観点から「分断」されつつあります。分断の双方に置かれた立場の人たちが、どうやってコミュニケーションしていったら良いのか。現実からいかに問題を発見し、それをゲームとして表現するか。それにより、世界を変えていけたらと思っています。
気候変動問題を対処するにあたり、考え方や利害の違いから社会において様々な観点から葛藤が生じ、社会の分断が生じています。どのような場合に葛藤が生じるのか、分断した社会においてコミュニケーションによって問題を解決していくための条件は何かという点を、明らかにしていきます。
「社会の分断と統合プロセスのゲーミングアプローチによる解明」
◆杉浦研究室HP(Environment & Gaming)
◆環境リスクへの対処行動を分析するゲーミング・シミュレーション(慶應義塾大学YouTube)
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 物理学 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? ドイツ連邦共和国。自分の研究フィールドだから。 |
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Q3.熱中したゲームは? 『Keep Cool』(ボードゲーム) |