刑事法学

刑罰観

意外と軽い刑罰を選択。人々の重罰への意識を調査


松澤伸先生

早稲田大学 法学部(法学研究科 公法学専攻)

出会いの一冊

DEATH NOTE デスノート(漫画)

大場つぐみ、小畑健(ジャンプ・コミックス)

ごく普通の高校生に、巨悪を裁く力が与えられたらどうなるのか。現代版『罪と罰』というべき漫画です。主人公が持っている正義感は、誰もが持っているものです。しかし、実際にそれを行使したらどうなるでしょうか。読んでいるうちに、主人公に対する共感、嫌悪感、いろいろな感情が起こることでしょう。罪と罰の哲学について、考えさせられる作品です。

こんな研究で世界を変えよう!

意外と軽い刑罰を選択。人々の重罰への意識を調査

「犯罪者は厳しく罰するべき」という意見

刑罰に対しては、誰もが何かの意見を持っているといっていいでしょう。テレビや新聞で重大事件に触れると、「こんな犯罪者は厳しく処罰されて然るべきだ」と憤ることも多いと思います。そうした正義感は、とても重要なことです。

実際にアンケートを取ってみても、「日本の刑罰は軽すぎる」と答える人が多いです。「日本はもっと厳しい刑罰を持った制度が必要だ」と多くの人が答えるのです。

実際のケースを知ると変わる刑罰

そこで、次は、その人たちに、実際のケースを読んでもらい、どのくらいの刑罰がふさわしいのか、答えてもらいます。そうすると、厳しい刑罰が必要だと言っていた人たちの多くが、意外と軽い刑罰を選択するのです。

実際のケースを読めば、事件にまつわる様々な事情を理解できるようになるからです。もっと進んで、事件についての裁判の様子(模擬裁判ですが)を見てもらうと、反応が劇的に変わります。

犯罪者は、どこにでもいる普通の人

犯罪者は恐ろしい罪を犯した怪物だ、と多くの人が思っていますが、実際の法廷に現れるのは、どこにでもいる普通の人なのです。さらに、この人に刑罰を科すとどんなことが待っているのか、正しい情報を伝えると、刑罰を科すことのマイナス面がよくわかってきます。

刑罰を重くしても、犯罪を予防する効果は大きくならない――驚くべきことですが、これは、明らかな事実です。

こうしたことを、アンケートやフォーカスグループ調査を通じて、実際のデータを取りながら、明らかにしているのが、私の研究です。

対面授業とzoomの両方を利用したハイブリッド授業の様子
対面授業とzoomの両方を利用したハイブリッド授業の様子
SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

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正しい刑罰制度は、持続可能な社会において必要不可欠です。犯罪者も、永遠に社会から隔離されるのではなく、いずれは社会復帰することを考えれば、そのことは一層明らかです。この研究は、正しい刑罰制度の確立に寄与するものです。

先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「刑罰政策における公衆の意識構造の実証的研究:「民意」をどのようにつかまえるべきか」

詳しくはこちら

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どこで学べる?
先生のゼミでは
◆主専攻ゼミの場合

専門的なことを学ぶ前提として、「わからないことはわかったふりをしない」ということを特に強く指導しています。学生は、わからないと思われたくないと考える傾向がありますが、わからないことをそのままにしておくほうが、ずっと良くないです。どんなつまらないことでも、質問するように指導しています。私は、それをすべて聞いて、きちんと取り扱って指導します。

もっと先生の研究・研究室を見てみよう

現行刑事法研究会HP

◆Twitter (松澤ゼミ):https://twitter.com/matsuzawa_semi

今年の2月初旬のコロナ禍になる前のゼミ合宿
今年の2月初旬のコロナ禍になる前のゼミ合宿
先輩にはこんな人がいる ~就職

◆主な職種

(1) 法曹(裁判官・検察官・弁護士)

(2) 地方公務員(都庁、県庁)

(3) 銀行員

◆学んだことはどう生きる?

裁判官・検察官・弁護士になって活躍している学生が多くいます。刑法のゼミですので、特に検察官として活躍する学生が多い印象です。ゼミで学んだディベートの技術や、論理的思考能力を生かして、法律の専門家として活躍してくれるのは、大変ありがたいと思います。

先生の学部・学科は?

早稲田大学は、あらゆるテーマについて高い専門性をもった研究者が揃っています。日本を代表する研究者の多くが、私たちの大学に所属しており、どの分野についても、最高水準の研究・教育を行っていると考えます。どこかの分野に偏って優れたということではなく、あらゆる分野でバランスの取れた教育を受けることが保証できます。

中高生におすすめ

罪と罰

ドストエフスキー、訳:工藤精一郎(新潮文庫)

古典ですが、刑法の根底にある問題を鋭く分析する本です。法学を学ぶ人は、一度は読んでおかなければならない本といえるでしょう。


風姿花伝

世阿弥(岩波文庫)

何かを学ぶということが、どういうことかを教えてくれます。学ぶ・極めるということの本質をついた本です。


ヴィンランド・サガ(漫画)

幸村誠(アフタヌーンKC)

ヴァイキング時代の北欧・デンマーク、イングランド、アイスランドを描く漫画です。デンマーク法がイギリス法に影響を与えていった姿もよくわかります。私の研究対象の一つにデンマーク法がありますが、北欧に興味を持ってもらうためにも、ぜひ読んでほしいです。


先生に一問一答
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

やはり法学です。自分には法学が向いていることがわかっているからです。そうでないとしたら…数学はやってみたいと思っていました。

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 

デンマークです。妻がデンマーク人ですので、リアルにそうなります。実際に長いこと住んでいました。

Q3.一番聴いている音楽アーティストは?

グスタフ・マーラーです。疎外された人間をこれほど的確に描いた作曲家はいないと思います。好きなのは、交響曲『大地の歌』。マーラーの9番目の交響曲になるはずだった作品です。第6楽章はすべての音楽の中で最も共感できる音楽です。

Q4.感動した映画は?印象に残っている映画は?

メジャーな映画ではありませんが、ジョン・トラボルタ主演の『マイケル』という映画が好きです。『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(いわゆる「旧劇場版」)も好きです。


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