農産物の生産から流通、消費に至るまでの様々な活動を、より効率的に、より持続的に行うためにどうすればよいか,人と経済の視点から研究するのが、「経営・経済農学」という分野です。一般的には「農業経済学」と呼ばれています。食品の安全性に関する研究、消費者の食品購買行動などが最近の注目テーマです。
その中でも、私は農産物や食品の流通に関心があります。特に追求しているのは、農業経営や農村経済の多角化です。今までのような農産物の売り方に加え、多様な売り方を模索して、農家の収入増加につなげていきたいと考えています。
イチゴ狩りも農業の多角化の一つ
例えば、農家が他の商工業者と連携して、自身の農場でとれた農産物を使って加工食品を開発したり、新しい販売先を開拓したりするには、どういうノウハウが必要かを調査してきました。また、農産物を直接消費者に売る「直売型農業」をどのようすれば普及できるのか研究してきました。
イチゴ狩りやリンゴ狩りに行ったことはありませんか。こうした農園は「観光農園」といいます。消費者としては観光として農業体験ができ、生産者にとってはお客さんとの接点、農作物の魅力の発信、そして農村地域の活性化につながります。農家の新たな収入源にもなっています。こうした多角化の盛んな地域の特徴を調査するなど、多角的な農業経営を支援できる調査研究を行っています。
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「18.社会・法・国際・経済」の「75.経済学、農業経済・開発経済」
一般的な傾向は?
●主な業種は→金融業、流通業、製造業(特に食品)、公務
●主な職種は→事務職、営業職が多い
分野はどう活かされる?
・製造業、流通業では、マーケティングや物流管理の専門的業務に就く卒業生もいます。
・経済学の基礎知識が身につくので、金融学や一般企業の財務に関する業務を担う人も多くいます。
・公務員の中には、指導農業普及員という専門職に就いている人もいます。(一定年数の実務を経験した者が受験できる資格です)
千葉大学園芸学部の「園芸産業創発学プログラム」は施設園芸や植物工場の経営に特化した新しい教育プログラムで、園芸ビジネスに関心がある人向けです。入試制度が一般入試と異なりますので、ホームページで確認してください。
経営・経済農学では、実態を正確に把握する能力と、実態を理論に基づいて考え、真に重要なポイントを導く能力の双方が求められます。またローカルな視点とグローバルな視点の双方も必要です。えり好みせず、広く社会に関心を持つよう心がけてください。
【テーマ例】
・顧客の立場に立って加工食品を試作・商品開発してみる。
・日常の食生活をより正確に調査し、統計手法を応用して集計・分析してみる。
・集団で討論あるいは現地を歩きながら、ある(農村)地域の生活面での魅力と問題点を洗い出してみる。