岩石・鉱物・鉱床学

身近な岩石から地球史に迫る


永嶌真理子先生

山口大学 理学部 地球圏システム科学科(創成科学研究科 地球圏生命物質科学系専攻)

どんなことを研究していますか?

「石」は普段の生活のいたるところで見られます。一言で「石」といっても、火山から流れ出た溶岩が固まった石、建造物にもよく使われる黒や白の粒が目で見えるような石、大理石など真っ白な石など、様々なものがあります。私たちの身近にあるにも関わらず、このような岩石(=石)が何でできているのか、どのようにできたのかは意外と知られていません。

実は「岩石」=「鉱物の集合体」で、鉱物は世界に約5000種類存在することが知られています。鉱物の種類や量、大きさをはじめとする物理・化学的性質を知ることは、鉱物自体の特性を明らかにするだけではなく、岩石がどのような環境でできたのか、さらにはその岩石でできた山地や大陸がどのようにできたかを解明する鍵となります。

また私たちの生活に欠かせない金属などの天然資源は、レアメタルなどの有用な資源元素を多く取り込んだ鉱物を採掘することで得られます。そのような鉱物を含む岩石(=鉱石)が集まってできた場所が「鉱床」です。我々の学問分野は,身近にある鉱物や岩石を研究することで、資源問題や46億年に及ぶ地球史の解明に大きく貢献しています。

鉱物の中のレアメタルの動きを知る

その中で、私が専門とする研究領域は鉱物学・結晶学で、レアアースなどのレアメタルを多く含む鉱物を主な対象として研究しています。結晶内のレアメタルの動きを明らかにしたり、それらが結晶に及ぼす影響を明らかにしようとしています。また、どのような鉱物にレアアースが濃集するのかなどを、形成環境などとともに総合的に検討しています。

また結晶がどのようにして成長するのか、結晶の中でレアアースなどがどのような役割を果たしているかなどを解明するために、自然界の形成環境を再現した実験を行うことで人工結晶を合成して研究対象にすることもあります。この分野では基礎的な研究に位置づけられますが、資源金属元素の濃集プロセスの解明は、日本国内に限らず世界中の同じような環境で形成された場所の理解にも、大きく貢献できます。

当研究室の学生の分析を指導しているところです。コロナ禍で、研究室でも全員常時マスクを着用しています。電子線マイクロプローブアナライザーという装置を使って鉱物の化学的特徴を明らかにしています。
当研究室の学生の分析を指導しているところです。コロナ禍で、研究室でも全員常時マスクを着用しています。電子線マイクロプローブアナライザーという装置を使って鉱物の化学的特徴を明らかにしています。
この分野はどこで学べる?
学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?

●主な職種は→地球科学系の専門職(地質コンサルタント、資源開発、環境調査)、公務員、理科教員など

分野はどう活かされる?

当研究室に限らず、地球科学系技術職で活躍する卒業生が多いです。当学科のカリキュラムは「日本技術者教育認定機構」(JABEE)という高等技術者教育プログラムの認定を受けており、申請により国家資格「技術士補」を取得できますので、専門分野への就職に大変有利です。

毎年学科主催で全国から20社以上が集まる国内最大の地質業界説明会を開催しています。資源関連(石油・金属・非金属)、ゼネコン、地質コンサルタントなどで活躍する多くの卒業生の声を生で直接聞けるのが魅力です。

先生の学部・学科はどんなとこ

地球圏システム科学科では、地球の過去から現在の姿と、そこで起こる様々な現象としくみを明らかにし、将来の地球環境、資源、災害への対応を目指しています。鉱物や資源のなぞを探る「鉱物資源科学」、地球環境と生物進化のなぞを追う「地球進化学」、岩石や大陸移動の歴史のなぞを探る「岩石学」、地殻変動のなぞを探り、地質災害を予測する「応用地球科学」などの教育・研究分野があります。

いずれの分野もフィールドワークに力を入れているのが特徴です。「地質学の教科書」と称されるほど、多様な岩石や地層を観察することができる山口県に位置する山口大学は、地球科学を学ぶ学生にとっても、非常に恵まれた場所といえます。地球圏システム科学科は、フィールドサイエンスからグローバルな国際研究まで幅広くカバーしており、さらにJABEEによる教育プログラムの認定を受けている国内でも数少ない学科です。

もっと先生の研究・研究室を見てみよう
先生からひとこと

地球科学は私たちの生活にとても近い学問で、この惑星に住んでいる限り不可欠な分野だと思います。石ころはその辺に転がっていますし、地震発生や火山噴火もニュースも耳にすることがあります。化石が見つかった!とか、隕石が落ちてきた!とか、キラキラした宝石も!これらは地球科学というフィルターを通すことでより詳しく知ることができたり、研究することで新事実に至ることもあります。みなさんの周りにも地球のフシギがたくさんあるはずです。おもしろいな、不思議だな、きれいだななどの些細なキッカケが大発見につながる、地球科学はそのような分野だと私は思っています。

ポスドク時代を過ごしたスイス・ベルン大学のラボメンバーとひさしぶりに再会。一番左(男性)がThomas Armbruster教授、左から2番目女性がGeorgia Cametti博士、私、そして一番右が元研究室技官のVladimir Malogajski氏。
ポスドク時代を過ごしたスイス・ベルン大学のラボメンバーとひさしぶりに再会。一番左(男性)がThomas Armbruster教授、左から2番目女性がGeorgia Cametti博士、私、そして一番右が元研究室技官のVladimir Malogajski氏。
興味がわいたら~先生おすすめ本

史上最強カラー図解 プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本

下林典正、石橋隆:監修(ナツメ社)

まず美しい鉱物の写真が目に飛び込んできます。自然界でこのようにカラフルで美しい結晶が見られることに純粋に驚かされます。この本は、それぞれの鉱物の解説も充実しており、かつ鉱物を理解するために必要な基礎知識をわかりやすく、しっかり説明しています。

また産業界、学術界でプロフェッショナルとして鉱物と関わる人たちのコラムは必読で、鉱床探査、海底資源、都市鉱山、宝石の鑑別など興味深いテーマばかりです。岩石・鉱物・鉱床学という学問分野そのものの紹介と言え、専門家だけではなく、鉱物に興味がある初学者にも適した書籍です。 


絵でわかる日本列島の誕生

堤之恭(講談社)

「日本列島がどのようにつくられたのか」をわかりやすく、そしてかなり詳しく教えてくれます。大陸からはがれて日本列島ができたとよく言われるがそれは本当か、本当だとしてその後、現在の列島形成に至る過程で、地質学、プレートテクトニクスの理論によってどう折れ曲がったのかまで、豊富な図解でわかります。昔から日本は島国だったと思っている人は読んでみてほしい。目からウロコです。



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