石鹸水が泡立ち透明な膜を作る様子を見ていると、キラキラとして美しい。しかし、そこで重なり合う泡などの動力学を理解しようとすると、数学の問題としては実は大変な難問で、理論作りは困難を極めます。一方、面上の泡の挙動を機械的に制御する方法を用いると、工学的、数学的にも面白い挙動が出てきて、様々な機能を持たせることもできます。石鹸水の水面上の泡は、表面張力が主力の振動をし、接続状態も変わり、あたかもミクロの世界の量子的運動を彷彿させる振る舞いをします。本研究室の研究により、表面張力によってできるしずくの運動を再現するなど、重なり合う泡構造の問題についても数学的に記述ができて、将来が期待できる数値計算結果を得ることができました。
私は、非線形偏微分方程式論、変分問題、数値解析を主な専門としています。微分方程式なので解はなめらか(微分可能)であることが求められていましたが、現在では、対象物が折れたり、切れたり、泡のように境界が動くような、不規則な現象を扱うことができるようになってきました。これらはまだまだ発展途中です。現在の最先端のテクノロジーでもこのような問題が頻出します。100年前の数学は基礎的な物理現象と共に発展してきましたが、今日では、複雑な現象を表現し、解析することに使えるようになってきました。まさに、発展途上の難問に取り組まんとする学生さんの参加を期待しています。
コンピュータを用いた数値計算手法も開発
一方、コンピュータを用いた数値計算方法の研究も行っています。いわゆる、シミュレーション技術の開発です。そのためスーパーコンピュータを開発している会社と共同研究を行い、多くの大学院生がその方面へと進出して行きました。特に、複雑な現象を効率的に取り扱うアルゴリズムの開発などに力を注いでいます。
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一般的な傾向は?
●主な業種は→大学院博士出身者ですが、多数が大学教員になって研究を継続中です。また、修士出身者では、コンピュータ業界、金融業界などへ進出しています。
●主な職種は→大学教員(数学者)、企業の研究所の研究開発職など。
分野はどう活かされる?
スパコンのアーキテクチャーに合わせたアルゴリズムの開発。製品開発で必要な数値計算方法の提案・研究。
計算科学コースの特徴として、外国人教員、留学生の多さが挙げられると思います。また、英語だけで卒業できるコース設定があります。
高校の物理、特に、運動方程式を微積分で考えてみよう!