商学

医療も、行政や地域もマーケティングが大事~マーケティング戦略は全ての組織のために


小木紀親 先生

東京経済大学 経営学部 流通マーケティング学科/経営学研究科 経営学専攻

どんなことを研究していますか?

ヒット商品がどのように生まれたのか、広告がどのような効果をもたらすのか、流通の仕組みはどうなっているのか、同じ商品なのに店によってどうして価格が違うのか、消費者の行動はいかなるものなのかなど、市場には実に様々な疑問が生じてきます。このように企業をはじめ、あらゆる組織の戦略やそれに対応する消費者の行動、そして市場での多様な現象を研究するのがマーケティングと言えます。

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その中でも、医療機関(病院など)は、患者からの診療費を得て経営が成り立っており、その意味では一般の企業と同じようにマーケティングが必要と考え、独自にその研究を切り開いてきました。医療サービスを向上し顧客満足度を上げる工夫、医薬品などのコストを下げるための流通の仕組みの工夫、あるいは、病院などの組織を改善し効率化を図るなど、医療機関における様々なマーケティング戦略の研究を行っています。それによって、質を維持した上での医療全体の効率化が図られることの一助となり、医療機関の進展に寄与していくと考えます。また、行政や地域においても同様にマーケティングは必要で、そうした行政のマーケティングや地域活性化のマーケティングの研究も進めています。

社会貢献を目指す、新しいビジネススタイルにもマーケティング

その他にも、社会貢献を目的とした、社会的起業家が立ち上げた新しいビジネスの形態であるソーシャルビジネスのマーケティング研究も行っています。「開発途上国への食料支援」と「先進国での肥満・生活習慣病」という課題を同時に解決しようという取り組みである「Table For Two」に関する研究では、私が授業で紹介したところ、ゼミ生が「私たちもやりたい」と言い出し、自ら生協や大学と交渉し、カロリー計算された健康ランチを学食で提供するようになりました。健康ランチを420円で販売し、20円分をアフリカの子どもたちの給食費に送るという国際貢献のしくみです。また、地域の魅力を伝えるサイト『国分寺物語』をゼミ生と共に立ち上げるなど、ソーシャルビジネスの立ち上げ(スタートアップ)期の研究も進めています。

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地域活性化ビジネスの「国分寺物語」(ニッポニアニッポン×小木ゼミ)の活動で、国分寺の野菜(こくべじ)を販売する取り組み。2018年11月に大学構内で、じゃがバター販売と採りたて野菜の販売をしました。写真は、ゼミ生や清水農園の清水さん、ほか。一番右が小木先生。この取り組みは、国分寺市役所、清水農園、JAなどとの取り組みでした。

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→金融、食品、サービス、教育、医療他
  • ●主な職種は→営業、企画、販売、サービス、一般他
  • ●業務の特徴は→幅広い業務に携わっています
分野はどう活かされる?

化粧品の販売や企画/食品の営業や企画/銀行総合職/銀行での窓口業務(女性)/小中学校教員/大学教員/公務員/医薬品・医療資材の販売/CA(キャビンアテンダント)業務などに、学んだことが活かされています。

先生から、ひとこと

学問、とりわけマーケティングにおいては、全ての現象や物事に対して「なぜそうなっているのか」、「本当にそうなのか」の視座から考え抜く「批判的精神」(気づく→調べる→伝えるのプロセス)が必要です。そこに「学び」の原点があり、その楽しさに気づくとき、学問は興味深いものとなるでしょう。批判的精神を養うためには、何かに臨む際の態度と姿勢が最も重要だと感じています。高校や大学では、自律した態度と姿勢を大事にするという心意気で日々精進してください。

先生の学部・学科はどんなとこ

経営学部流通マーケティング学科は、流通とマーケティングに関する科目をどこよりも豊富に取り揃え、実際と実践を旨として教育を行っています。とりわけ、ケースメソッドの科目が必修授業となっており、そこでは論理性とディスカッション力を十分に身につけることができ、就活力も養えます。

また、本学のキャッチフレーズは「ゼミする東経」で、ゼミが非常に活発です。本学科では、外部コンペでの賞の獲得、企業とのコラボ企画、地域活性化のための取り組みなど、実践的なゼミが多いのが特徴です。ちなみに、小木紀親ゼミナールでは、先の地域活性化プロジェクト「国分寺物語」(ニッポニアニッポン×小木ゼミ)に加え、お菓子メーカーとコラボした、お菓子の新商品を提案・販売するプロジェクトや、NPO・生協とコラボし健康ランチの提案・販売を行い、売上の一部をアフリカの子どもたちの給食費に寄付するプロジェクトを推進するなど、毎年3つほどのコラボ企画を進めています。

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「こんなお菓子あったらいいなプロジェクト」で、鈴木栄光堂・イーグル製菓社長への新商品のプレゼンテーション後(2018年3月)。ゼミ生と鈴木栄光堂・鈴木社長。中央が小木先生。

先生の研究に挑戦しよう

研究テーマの参考に、実際のゼミ生が取り組んだテーマの一部を紹介します。「緑茶飲料市場トップシェアを維持し続ける要因」、「食品ロスの削減」、「国内におけるオーガニックコスメの普及」、「木質バイオマスの普及」、「中国化粧品市場におけるSNSの活用」、「ランニングシューズ使用におけるベネフィットの調査」、「百貨店の既存顧客維持と新規顧客の獲得」、「企業による仕事と育児の両立支援」、「勤務医の業務負担軽減」、「出版社を中心にした電子書籍の普及」、「音楽配信企業の利潤向上の手立て」、「こんなお菓子あったらいいなプロジェクト」など。

興味がわいたら~先生おすすめ本

マーケティングEYE 第4版

小木紀親

東京経済大学小木紀親先生の新聞連載をまとめたもので、批判的精神の視座から、マーケティングの基本体系にはじまり、有名企業の意外なビジネス、ネットビジネス、ペット市場、シニア・キッズビジネス、マンガ市場、スポーツマーケティング、医療マーケティング、行政・地域のマーケティング、ソーシャルビジネスなど実に様々な領域について、事例を中心に論じている。マーケティングや経営学に関心を抱いている人、マーケティングや経営学を専攻する学生、マネジメントにおける幅広い知識を得たいとする人などにおすすめ。 (中部経済新聞)


島耕作シリーズ

弘兼憲史

1980年代に初めて描かれた『課長 島耕作』から現在の『会長 島耕作』に至るまでの島耕作のビジネス人生をたどる壮大な漫画。これらを通じ、高度成長期からバブル期、震災、不況を経て現在までの家電メーカーの変遷と、日本経済の変遷がよくわかる。新人時代編『ヤング島耕作』や学生時代編もある。 (講談社コミックス)


ビューティフル・マインド

第74回(2001年)アカデミー賞作品映画。のちに「ゲーム理論」を打ち出してノーベル経済学賞を受賞した天才数学者、ジョン・ナッシュの半生を描いた作品。研究者の悩みと活躍をリアルに見ることができる。 (ロン・ハワード:監督 ラッセル・クロウ:主演)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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