ヒット商品がどのように生まれたのか、広告がどのような効果をもたらすのか、流通の仕組みはどうなっているのか、同じ商品なのに店によってどうして価格が違うのか、消費者の行動はいかなるものなのかなど、市場には実に様々な疑問が生じてきます。このように企業をはじめ、あらゆる組織の戦略やそれに対応する消費者の行動、そして市場での多様な現象を研究するのがマーケティングと言えます。
その中でも、医療機関(病院など)は、患者からの診療費を得て経営が成り立っており、その意味では一般の企業と同じようにマーケティングが必要と考え、独自にその研究を切り開いてきました。医療サービスを向上し顧客満足度を上げる工夫、医薬品などのコストを下げるための流通の仕組みの工夫、あるいは、病院などの組織を改善し効率化を図るなど、医療機関における様々なマーケティング戦略の研究を行っています。それによって、質を維持した上での医療全体の効率化が図られることの一助となり、医療機関の進展に寄与していくと考えます。また、行政や地域においても同様にマーケティングは必要で、そうした行政のマーケティングや地域活性化のマーケティングの研究も進めています。
社会貢献を目指す、新しいビジネススタイルにもマーケティング
その他にも、社会貢献を目的とした、社会的起業家が立ち上げた新しいビジネスの形態であるソーシャルビジネスのマーケティング研究も行っています。「開発途上国への食料支援」と「先進国での肥満・生活習慣病」という課題を同時に解決しようという取り組みである「Table For Two」に関する研究では、私が授業で紹介したところ、ゼミ生が「私たちもやりたい」と言い出し、自ら生協や大学と交渉し、カロリー計算された健康ランチを学食で提供するようになりました。健康ランチを420円で販売し、20円分をアフリカの子どもたちの給食費に送るという国際貢献のしくみです。また、地域の魅力を伝えるサイト『国分寺物語』をゼミ生と共に立ち上げるなど、ソーシャルビジネスの立ち上げ(スタートアップ)期の研究も進めています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→金融、食品、サービス、教育、医療他
- ●主な職種は→営業、企画、販売、サービス、一般他
- ●業務の特徴は→幅広い業務に携わっています
分野はどう活かされる?
化粧品の販売や企画/食品の営業や企画/銀行総合職/銀行での窓口業務(女性)/小中学校教員/大学教員/公務員/医薬品・医療資材の販売/CA(キャビンアテンダント)業務などに、学んだことが活かされています。
学問、とりわけマーケティングにおいては、全ての現象や物事に対して「なぜそうなっているのか」、「本当にそうなのか」の視座から考え抜く「批判的精神」(気づく→調べる→伝えるのプロセス)が必要です。そこに「学び」の原点があり、その楽しさに気づくとき、学問は興味深いものとなるでしょう。批判的精神を養うためには、何かに臨む際の態度と姿勢が最も重要だと感じています。高校や大学では、自律した態度と姿勢を大事にするという心意気で日々精進してください。
経営学部流通マーケティング学科は、流通とマーケティングに関する科目をどこよりも豊富に取り揃え、実際と実践を旨として教育を行っています。とりわけ、ケースメソッドの科目が必修授業となっており、そこでは論理性とディスカッション力を十分に身につけることができ、就活力も養えます。
また、本学のキャッチフレーズは「ゼミする東経」で、ゼミが非常に活発です。本学科では、外部コンペでの賞の獲得、企業とのコラボ企画、地域活性化のための取り組みなど、実践的なゼミが多いのが特徴です。ちなみに、小木紀親ゼミナールでは、先の地域活性化プロジェクト「国分寺物語」(ニッポニアニッポン×小木ゼミ)に加え、お菓子メーカーとコラボした、お菓子の新商品を提案・販売するプロジェクトや、NPO・生協とコラボし健康ランチの提案・販売を行い、売上の一部をアフリカの子どもたちの給食費に寄付するプロジェクトを推進するなど、毎年3つほどのコラボ企画を進めています。