経営学

特許の活用が莫大な収益を生む!ものづくりの経営学研究


後藤時政 先生

愛知工業大学 経営学部 経営学科 経営情報システム専攻/経営情報科学研究科 経営情報科学専攻

どんなことを研究していますか?

特許とは、発明をした人または企業が独占的にその技術を使用する権利(独占的排他権)です。他の企業は、同じような商品を作ろうとするときに、別の技術を新たに発明するか、発明した企業に特許の使用料(ライセンス料)を払わないといけないということになります。

その特許を使った利益拡大のための企業戦略に、「オープン&クローズ戦略」というのがあります。それは、知的財産のうち、どの部分を秘匿または特許による独占的排他権を実施(クローズ化)し、どの部分を他社に公開(オープン化)するか検討・選択するのです。オープンにすることで自社製品の市場を広げつつも、重要な部分はクローズにして必ず儲けられるようにするのです。CPUメーカーのインテルが良い例で、自社のCPUを使ったパソコンの作り方はオープンにするものの、CPUはどこにも作らせない、すなわちクローズにしています。PCはいろいろなメーカーが製造していますが、その中に搭載されるCPUは、ほぼすべてインテル社製です。

中小企業がもっと利益を上げるために、特許に着目

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私の専門は、ものづくり経営学です。ものづくりは日本のお家芸でしたが、今や品質が良い商品を安く作れば必ず儲かるという定説が崩れ、企業が儲けるために何か新たな別の戦略が必要になっています。その一つの方法が、特許を活用することです。特許を取得すると、その企業には独占的排他権やライセンス料などにより、莫大なお金が入ります。私の研究は、日本の企業の99.7%を占める中小企業がお金を儲けるための新たな方法として、このように特許をうまく活用する方法を考えています。中小企業では特許を活用して儲けるようなことはあまりなされておらず、まだまだ開拓の余地がある研究分野であると言えます。

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セミナー指導の様子

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→製造、サービス、ITなど
  • ●主な職種は→生産技術、営業、SEなど

先生の学部・学科はどんなとこ

当学科の教育科目は、経営者育成、ものづくり技術経営、経理・会計、企画・営業、ITといった5つの科目群に分けられていて、学生は自分の将来のキャリアを見据え、どのような科目を選択すれば良いのかを考えながら単位を取得していきます。我々教員は、例えば、「生産管理がわかる営業」、「ものづくりがわかる会計士」、「経理・会計がわかるIT技術者」、「エンジニアリングがわかるマーケター」といったように、学際的知識を有する人材を輩出することを目標としています。

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セミナー指導の様子

先生の研究に挑戦しよう

ある高専では、実際に学生に特許出願書類を書かせて、特許を取らせる試みをしているそうです。また、大学生などに、富士通などの大企業の開放特許を使って中小企業の新ビジネスを考えさせるような取り組みもあります。特許などの知財の機能に対して興味を持って、それを管理したり、活用したりする術を知ることは、経営者や技術者を目指す高校生には重要だと思います。

興味がわいたら~先生おすすめ本

女子大生マイの特許ファイル

稲森謙太郎

そもそも特許とは?特許はどうやって取得する?そんな特許の入門書。「iPS細胞を使った再生医療は特許されるのか?」「20世紀最後の大発明・青色LEDの特許は誰のもの?」。アース製薬vsフマキラーの特許バトルのゆくえ、ビートたけしと所ジョージの作ったゴルフクラブ、孫正義やホリエモンの夢の特許も登場。 (楽工社)


太陽の罠

太陽光発電の特許をめぐり、産業スパイの疑いをかけられる男が主人公のサスペンスドラマ。特許はどのように金儲けにつながるのかがわかる。 (NHK)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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