◆先生のご研究内容について教えてください
人の成長の7割以上は、仕事の経験によって決まると言われています。これまで、どのような職務内容が人材の成長を促すのかが研究され、その結果「変革プロジェクトへの参加」「他部門や外部組織との連携」「組織を立て直す仕事」などを経験した人ほど、リーダーシップを身につけることが明らかになってきました。
しかし、誰もがそのような事に携われるわけではありません。どんな仕事でも、そこから学び取る力が重要ですし、企業は従業員がそうした能力を身につけられるように、サポートする必要があります。
そこで私は「経験から学ぶためには、いかなる能力が必要になるのか」「優れた組織では、経験からの学びをどのように支援しているのか」という問題を検討し、企業の人材育成に役立てています。
◆研究を通して明らかになってきたことはありますか
私の研究によれば、次の5つの要因を備えている人ほど、経験から学び、成長する傾向にあります。
- 1 成長したいという目標志向性(学習志向)
- 2 成長を支援してくれる人との関係(発達的ネットワーク)
- 3 挑戦的な課題設定力(ストレッチ)
- 4 自身の活動を適切に振り返る力(リフレクション)
- 5 活動のやりがいや面白さに気づく力(エンジョイメント)
◆具体的な研究方法について教えてください
文献調査を通して、これまでの研究状況を整理し、質問紙調査で得たデータを統計的に分析し、インタビュー調査によって事例を検討しています。
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「19.経営システム・ビジネス」の「78.経営学(組織・戦略、ベンチャー論)」
「プロフェッショナリズム」「感情労働と人材成長」「メンタリング」「失敗からの学習」「孤独と幸福感」といったテーマに取り組んでいます。
◆主な業種
・コンピュータ、情報通信機器
・金融・保険・証券・ファイナンシャル
◆主な職種
・営業、営業企画、事業統括
◆学んだことはどう生きる?
経験学習は、どのような業務においても必要となります。業種、職種に関係なく、自身の仕事経験から教訓を引き出し、日々、能力を向上させているようです。
経営学は、心理学、経済学、社会学等をベースにした応用科学です。企業を取り巻く環境において、現実に起こっている問題を解決するために、様々なアプローチが取られています。
・自身の学習活動や部活動の経験を振り返り、どのような学びを得たかについて考えてみる。
・「ストレッチ(挑戦する力)」「リフレクション(振り返る力)」「エンジョイメント(楽しむ力)」「思い(信念・価値観)」「つながり(他者との関係性)」の観点から、自身の経験学習力を診断してみる。