多様な人々の経験や価値観が生きる会社づくりを
「会社のために」が優先される雇用慣行
日本の経営システムは高い国際競争力を持ち優れていると評価された時期がありましたが、時代や環境が移り変わる中、次第にその良さが薄れ、むしろ弊害や問題点が指摘されるようになってきました。
その代表的なものが、働き方に制約のない男性を中心とした雇用慣行です。
しかし、会社のために長時間労働や全国転勤なども厭わないことが評価される場合、育児中の女性や介護の必要な親族を抱える人など、何らかの制約のある人々は十分に活躍できないばかりか、そこに労働参加することさえ難しくなってしまいます。
これまでの働き方や経営に関する価値観を見直す
ところが一方で、より世の中が良くなるには、独創的な発想やこれまでの価値観にとらわれず、時にそれを覆すような斬新な姿勢や考え方が必要であること、そしてそれには多様な立場や経験、考え方をする人々の参加が不可欠であることがわかってきました。
つまり、これまでの働き方や経営に関する価値観を見直し、根本から新たなものを構築する時機が来ているのです。
変えることは、短期的にみれば、常に多かれ少なかれ「痛み」を伴います。それでも、適切な方向に変革することができれば長期的には大きな「実り」が期待できます。
そこで、アンケート調査やインタビュー調査を通じて得られた「生の声」をもとに、両者の最適なバランスとそれを実現する道筋を探りだすという、探検や宝探しのような研究を行っています。
多様な人々の経験や価値観が生きる経営システムを作るという課題は、決して女性のみに限らず、あらゆる人々に自分の能力を最大限に発揮してもらうためのものです。その結果、活力や働き甲斐が生まれ、イノベーションも実現しやすくなります。鳥瞰的、あるいは全体的な視点というシステム思考を忘れずに研究を進めることで、少しでも役立つ提言をしたいと考えます。
「これからの「創造的な働き方」を支える組織変革と組織学習の統合的探求」
中川功一
大阪大学 経済学部 経営学科/経済学研究科 経営学系専攻
【経営戦略論、技術革新】高いレベルで研究活動を行う一方で、経営学をより身近に感じてもらうための読みやすい本の執筆やYouTubeでの動画配信などを積極的に行っています。大学院の後輩にあたりますが、刺激を受けることばかりです。
加藤俊彦
一橋大学 商学部 経営学科/経営管理研究科 経営管理専攻
【経営戦略論、経営組織論】実直で意欲的な研究を蓄積しており、派手なパフォーマンスなどはなくても、これまでにその研究書のいくつかで、数々の賞を受賞しています。高校の先輩として誇れる存在です。
清水剛
東京大学 教養学部 教養学科/総合文化研究科 国際社会科学専攻
【企業システムと法システムの相互作用】幅広く、かつ深い教養があり、行動力もあるため、自然体でありながら、その知識や能力が圧倒的です。次々に新たな知識を身につけて、その活動範囲を世界に広げていっていることに対しても、敬服しています。
◆先生のゼミや、講義「経営組織論」では
自分自身が実施した調査結果や、企業やシンクタンクとともに行った共同研究の結果などを紹介して、イメージを掴めるようにしています。また、ゼミでは産学連携プロジェクトを実施し、社会人との交流を持ち、現場への関心を持つように促しています。
◆「働き方改革」を成功させるには、積極的に組織変革・組織学習の知見を活かそう 経営学専攻 安藤史江教授(南山大学社会科学研究科教員コラム)
◆第69回全国能率大会 経済産業省 経済産業政策局長賞を受賞して(全能連HP)
◆Facebook(安藤ゼミ):https://www.facebook.com/Andozemi/
◆安藤先生執筆『コア・テキスト組織学習』(Amazonへ)
◆主な業種
(1)自動車・機器
(2)一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
(3)金融・保険・証券・ファイナンシャル
◆学んだことはどう生きる?
私のゼミでは、「経営組織の中の人」に焦点をおいているため、人材関係に関心を持つ学生が少なからずおり、規模の大小にかかわらず転職支援の業務や人事関係の仕事をしています。
また、私の研究内容やゼミでの活動経験からコンサルティングに興味を持つ学生もおり、学んだ知識やスキルをもとに、実務経験を積んでいます。もちろん、普通にメーカーや金融に勤める学生もおりますが、もともと意欲の高い学生が集まっていることもあり、様々な分野に挑戦しているようです。
経営学部は、社会科学系の中でも実学とのつながりが非常に強い学部です。学生は、社会に出る前から働くということがどういうことかを日々考える機会を得て、それに関する知識やスキルも得ることができます。
経営組織に関する研究の産学連携は、以前は比較的難しかったのですが、最近では社会人の学びへの関心が高まったことから増加傾向にあり、教員自身のネットワークやOB・OGとのつながりから、盛んに行われています。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 実は18歳当時は経営学に興味を持てず、精神医学つながりの臨床心理学を学びたいと思っていました。でも面白さがわかった今は、もう一度学ぶ場合でもやはり経営学(ただし、人と組織に関する)でしょうか。 |
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Q2.熱中したゲームは? 時々ですが、子どもと『どうぶつの森 ポケットキャンプ』を楽しんでいます。 |
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Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 手っ取り早く海外のホームステイに行く費用を稼ぎたくて、短期集中ですが、家庭教師などをする傍ら、近所のケーキ屋さんなどで働いたことがあります。予想を超えたいろいろなお客様がいて、こうした接客の体験は、家庭教師などのアルバイトではできないものであったと、振り返るとプラスになったと感じています。 |
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Q4.研究以外で楽しいことは? 子どもや家族(ペットも含む)との時間です。子どもが比較的何にでも興味を持って掘り下げ、かつ私自身とは興味の方向も微妙に異なるので、子どもを通じて、日々新しいこと、自分では知りえなかったことを経験しているところがあります。二度目の人生を生きているようでもあり、大変さもありますが、面白さの再発見をしています。 |