経営学

組織

多様な人々の経験や価値観が生きる会社づくりを


安藤史江先生

南山大学 経営学部 経営学科(社会科学研究科 経営学専攻)

出会いの一冊

コア・テキスト組織学習

安藤史江(新世社)

組織学習という分野は、まだ聞きなれない分野かもしれません。しかし、組織が存続・発展するためには、常に適切な学習活動を行うことが求められます。

個人レベル、グループレベル、組織レベル、それぞれのレベルで求められる条件や、全体に共通するメカニズムを知り、その知識を自分自身の日常に活かすことによって、より賢く、充実した日常を送る助けになることでしょう。

こんな研究で世界を変えよう!

多様な人々の経験や価値観が生きる会社づくりを

「会社のために」が優先される雇用慣行

日本の経営システムは高い国際競争力を持ち優れていると評価された時期がありましたが、時代や環境が移り変わる中、次第にその良さが薄れ、むしろ弊害や問題点が指摘されるようになってきました。

その代表的なものが、働き方に制約のない男性を中心とした雇用慣行です。

しかし、会社のために長時間労働や全国転勤なども厭わないことが評価される場合、育児中の女性や介護の必要な親族を抱える人など、何らかの制約のある人々は十分に活躍できないばかりか、そこに労働参加することさえ難しくなってしまいます。

これまでの働き方や経営に関する価値観を見直す

ところが一方で、より世の中が良くなるには、独創的な発想やこれまでの価値観にとらわれず、時にそれを覆すような斬新な姿勢や考え方が必要であること、そしてそれには多様な立場や経験、考え方をする人々の参加が不可欠であることがわかってきました。

つまり、これまでの働き方や経営に関する価値観を見直し、根本から新たなものを構築する時機が来ているのです。

変えることは、短期的にみれば、常に多かれ少なかれ「痛み」を伴います。それでも、適切な方向に変革することができれば長期的には大きな「実り」が期待できます。

そこで、アンケート調査やインタビュー調査を通じて得られた「生の声」をもとに、両者の最適なバランスとそれを実現する道筋を探りだすという、探検や宝探しのような研究を行っています。

全国能率大会の論文の授賞式にて
全国能率大会の論文の授賞式にて
SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

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多様な人々の経験や価値観が生きる経営システムを作るという課題は、決して女性のみに限らず、あらゆる人々に自分の能力を最大限に発揮してもらうためのものです。その結果、活力や働き甲斐が生まれ、イノベーションも実現しやすくなります。鳥瞰的、あるいは全体的な視点というシステム思考を忘れずに研究を進めることで、少しでも役立つ提言をしたいと考えます。

先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「これからの「創造的な働き方」を支える組織変革と組織学習の統合的探求」

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どこで学べる?
先生のゼミ/授業では
◆先生のゼミや、講義「経営組織論」では

自分自身が実施した調査結果や、企業やシンクタンクとともに行った共同研究の結果などを紹介して、イメージを掴めるようにしています。また、ゼミでは産学連携プロジェクトを実施し、社会人との交流を持ち、現場への関心を持つように促しています。

もっと先生の研究・研究室を見てみよう
西日本インカレ(大学生の研究発表大会)に出場したときの一枚
西日本インカレ(大学生の研究発表大会)に出場したときの一枚
先輩にはこんな人がいる ~就職

◆主な業種

(1)自動車・機器

(2)一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等

(3)金融・保険・証券・ファイナンシャル

◆学んだことはどう生きる?

私のゼミでは、「経営組織の中の人」に焦点をおいているため、人材関係に関心を持つ学生が少なからずおり、規模の大小にかかわらず転職支援の業務や人事関係の仕事をしています。

 

また、私の研究内容やゼミでの活動経験からコンサルティングに興味を持つ学生もおり、学んだ知識やスキルをもとに、実務経験を積んでいます。もちろん、普通にメーカーや金融に勤める学生もおりますが、もともと意欲の高い学生が集まっていることもあり、様々な分野に挑戦しているようです。

先生の学部・学科は?

経営学部は、社会科学系の中でも実学とのつながりが非常に強い学部です。学生は、社会に出る前から働くということがどういうことかを日々考える機会を得て、それに関する知識やスキルも得ることができます。

経営組織に関する研究の産学連携は、以前は比較的難しかったのですが、最近では社会人の学びへの関心が高まったことから増加傾向にあり、教員自身のネットワークやOB・OGとのつながりから、盛んに行われています。

産学連携プロジェクトにて、ゼミ生と
産学連携プロジェクトにて、ゼミ生と
中高生におすすめ

日本でいちばん大切にしたい会社

坂本光司(あさ出版)

職業人生のうちの大半を過ごす会社だからこそ、自信を持って魅力的な会社であると他人に伝えられるような会社であってほしい、また、会社のために自分の人生があるのではなく、自分の人生をより一層充実したものにするのに会社が大きな役割を果たしている、と言えるような会社であってほしいものです。

この本ではそうした会社が複数紹介されています。会社選びや自分が今後どのようなキャリアを進んでいきたいか考えるときの良い参考になるのではないでしょうか。


ブラックジャック

手塚治虫(講談社)

天才外科医のブラックジャックが不器用ながら真摯な生き方、自分が正しいと思う信念を貫く姿を描く漫画です。わずかながら、医者を志した時期があり、高い技術はもちろん、その孤高の価値観に憧れを感じました。


風と共に去りぬ

マーガレット・ミッチェル、訳:鴻巣友季子(新潮文庫)

わがままですが、大きな環境変化の中でも打ちひしがれることなく、一度しかない人生に前を向いて生きるバイタリティから、勇気をもらえる小説です。好き嫌いはあるでしょうが、主人公のたくましさに魅了されます。


ジェーン・エア

シャーロット・ブロンテ、訳:大久保康雄(新潮文庫)

恵まれない境遇にある主人公が、自由と自立を目指して、自らを高める 努力をしながら、力強く生き抜いていく小説です。派手さはありませんが、どのような時代や環境をも乗り越える一つの参考になるように感じます。


先生に一問一答
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

実は18歳当時は経営学に興味を持てず、精神医学つながりの臨床心理学を学びたいと思っていました。でも面白さがわかった今は、もう一度学ぶ場合でもやはり経営学(ただし、人と組織に関する)でしょうか。

Q2.熱中したゲームは?

時々ですが、子どもと『どうぶつの森 ポケットキャンプ』を楽しんでいます。

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

手っ取り早く海外のホームステイに行く費用を稼ぎたくて、短期集中ですが、家庭教師などをする傍ら、近所のケーキ屋さんなどで働いたことがあります。予想を超えたいろいろなお客様がいて、こうした接客の体験は、家庭教師などのアルバイトではできないものであったと、振り返るとプラスになったと感じています。 

Q4.研究以外で楽しいことは?

子どもや家族(ペットも含む)との時間です。子どもが比較的何にでも興味を持って掘り下げ、かつ私自身とは興味の方向も微妙に異なるので、子どもを通じて、日々新しいこと、自分では知りえなかったことを経験しているところがあります。二度目の人生を生きているようでもあり、大変さもありますが、面白さの再発見をしています。


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