金融・ファイナンス

ウェルビーイング

経済学者の強みを生かし、「ウェルビーイング」の提案を


角谷快彦先生

広島大学 大学院人間社会科学研究科 経済学プログラム

出会いの一冊

楽天証券社長と行動ファイナンスの教授が「間違いない資産づくり」を真剣に考えた

楠雄治、角谷快彦(日経BP)

「お金」がテーマの本なので高校生必読というわけではないですが、行間に研究やデータ分析の楽しさを感じていただけたら嬉しいです。

こんな研究で世界を変えよう!

経済学者の強みを生かし、「ウェルビーイング」の提案を

介護、健康、孤独対策から、家計の安定まで

私が研究で一番大切にしているのは、人々の「安心できる暮らし」に役立つことです。学問の言葉ではこれを「ウェルビーイング」と呼びます。

最初は「介護」から始まり、その後「医療」「健康習慣」「健康経営」「孤独」「コロナ禍への対策」へと広がり、最近では「安定的で持続可能な家計=ファイナンシャル・ウェルビーイング」に取り組んでいます。

経済学者としての私の強みは、データを分析して科学的な根拠に基づいて提案できることです。そのため、金融機関やIT企業、自治体、メーカーなど多様な分野の人たちと協力しながら研究を進めています。経済学は数字だけの学問ではなく、人の行動や気持ちを科学的に理解しようとする学問です。研究室には日本だけでなく世界中から学生が集まり、日々にぎやかな議論が交わされています。

偶然から研究が生まれることも

研究のおもしろさのひとつは「セレンディピティ」──思いがけない偶然から生まれる発見です。

例えば、ラオス政府からクラスター爆弾処理への協力を依頼され、爆弾処理チームのストレス対策を日本のメーカーと一緒に提案したことが、その後の健康経営研究につながりました。学生や研究スタッフとの何気ない会話から新しい研究テーマが生まれることも少なくありません。

受験生の皆さんも、大学で「研究の楽しさ」をぜひ体験してください。広島大学経済学部には、皆さんの関心を自由に探究できる環境があります。そこで、自分だけの発見や挑戦を思い切り楽しんでほしいと思います。

学生たちがショッピングモールでマーケティングの実験中
学生たちがショッピングモールでマーケティングの実験中
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

「人間」そのものに興味があります。それがきっかけで私はウェルビーイングに興味を持ちました。学生時代はバックパッカーとして多くの国を旅しましたし、その後もいろんな国で暮らしました。寮生活が長かったこともありますが、1年間以上一緒に暮らしたことのある仲間は国籍にして130を越え、2,000人以上になります。

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「家計の変化が人々の孤立・孤独に与える影響のメカニズムを解明する研究」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
たくさん研究して、たくさん遊ぶ。仲間とともに学び合う研究室です
たくさん研究して、たくさん遊ぶ。仲間とともに学び合う研究室です
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 大学・短大・高専等、教育機関・研究機関

(2) コンサルタント・学術系研究所

(3) 金融・保険・証券・ファイナンシャル

◆主な職種

(1) 大学等研究機関所属の教員・研究者

(2) 技術系企画・調査、コンサルタント

(3) コンサルタント(ビジネス系等)

◆学んだことはどう生きる?

経済や社会の課題をデータで解決する力は、どんな分野でも活かせます。卒業後は、大学や研究機関のほか、金融・コンサル・行政など多彩な場で活躍しています。

先生の学部・学科は?

「地方都市・広島」のイメージと異なり、田舎にある大学なので学生と教員の距離が比較的近いと思います。都会の派手さはありませんが、自然に恵まれ、また多くの学生が大学周辺に住んでいるので集まりやすく、賑やかに研究に集中できるのが良いところだと思います。

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

かもめのジョナサン

リチャード・バック 五木寛之:訳(新潮文庫)

自由の素晴らしさをその代償と共に考えさせられる。


モモ

ミヒャエル・エンデ 大島かおり:訳(岩波少年文庫)

児童書だが、「時間の大切さ」という深いテーマがあるので高校生で読むと違った発見があるかも。


スローカーブをもう一球

山際淳司(角川文庫)

先入観は可能を不可能にする。才能のある人が先入観で自分を見失う「背番号94」。必ずしも才能に恵まれない人が先入観を排する「スローカーブをもう一球」。

一問一答
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は?

現在に後悔はなにもない。でも強いて言えば工学のものづくり系か宇宙関係の分野。

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?

教え子がいる国を中心に転々と。教え子の活躍を見たいから。

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

都営大江戸線の工事。地下深くの現場で汗を流しながら、「社会を支える経済の仕組み」を肌で感じた経験です(笑)。

Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

子どもの成長・教え子の成長


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