経済学者の強みを生かし、「ウェルビーイング」の提案を

介護、健康、孤独対策から、家計の安定まで
私が研究で一番大切にしているのは、人々の「安心できる暮らし」に役立つことです。学問の言葉ではこれを「ウェルビーイング」と呼びます。
最初は「介護」から始まり、その後「医療」「健康習慣」「健康経営」「孤独」「コロナ禍への対策」へと広がり、最近では「安定的で持続可能な家計=ファイナンシャル・ウェルビーイング」に取り組んでいます。
経済学者としての私の強みは、データを分析して科学的な根拠に基づいて提案できることです。そのため、金融機関やIT企業、自治体、メーカーなど多様な分野の人たちと協力しながら研究を進めています。経済学は数字だけの学問ではなく、人の行動や気持ちを科学的に理解しようとする学問です。研究室には日本だけでなく世界中から学生が集まり、日々にぎやかな議論が交わされています。
偶然から研究が生まれることも
研究のおもしろさのひとつは「セレンディピティ」──思いがけない偶然から生まれる発見です。
例えば、ラオス政府からクラスター爆弾処理への協力を依頼され、爆弾処理チームのストレス対策を日本のメーカーと一緒に提案したことが、その後の健康経営研究につながりました。学生や研究スタッフとの何気ない会話から新しい研究テーマが生まれることも少なくありません。
受験生の皆さんも、大学で「研究の楽しさ」をぜひ体験してください。広島大学経済学部には、皆さんの関心を自由に探究できる環境があります。そこで、自分だけの発見や挑戦を思い切り楽しんでほしいと思います。
「人間」そのものに興味があります。それがきっかけで私はウェルビーイングに興味を持ちました。学生時代はバックパッカーとして多くの国を旅しましたし、その後もいろんな国で暮らしました。寮生活が長かったこともありますが、1年間以上一緒に暮らしたことのある仲間は国籍にして130を越え、2,000人以上になります。
「家計の変化が人々の孤立・孤独に与える影響のメカニズムを解明する研究」

◆ 角谷快彦先生HP

◆主な業種
(1) 大学・短大・高専等、教育機関・研究機関
(2) コンサルタント・学術系研究所
(3) 金融・保険・証券・ファイナンシャル
◆主な職種
(1) 大学等研究機関所属の教員・研究者
(2) 技術系企画・調査、コンサルタント
(3) コンサルタント(ビジネス系等)
◆学んだことはどう生きる?
経済や社会の課題をデータで解決する力は、どんな分野でも活かせます。卒業後は、大学や研究機関のほか、金融・コンサル・行政など多彩な場で活躍しています。
「地方都市・広島」のイメージと異なり、田舎にある大学なので学生と教員の距離が比較的近いと思います。都会の派手さはありませんが、自然に恵まれ、また多くの学生が大学周辺に住んでいるので集まりやすく、賑やかに研究に集中できるのが良いところだと思います。
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Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 現在に後悔はなにもない。でも強いて言えば工学のものづくり系か宇宙関係の分野。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 教え子がいる国を中心に転々と。教え子の活躍を見たいから。 |
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Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? 都営大江戸線の工事。地下深くの現場で汗を流しながら、「社会を支える経済の仕組み」を肌で感じた経験です(笑)。 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子どもの成長・教え子の成長 |