食料農業経済

食の誤情報

SNSでも広がる食の誤情報 その対策に挑む


加藤弘祐先生

千葉大学 園芸学部 食料資源経済学科

出会いの一冊

フェイクニュースを科学する 拡散するデマ、陰謀論、プロパガンダのしくみ

笹原和俊(DOJIN選書)

SNSで広がるフェイクニュースについて、計算社会科学によるアプローチを中心として接近した書籍です。心理学分野の知見についても取り上げられています。フェイクニュースに関する実際の事例が多く、なおかつ研究も盛んに取り組まれている米国における研究事例が数多く紹介されていますが、それらの知見は日本にも通じるであろう内容であり、SNSの今後の運用に関する多くの示唆を提示しています。

高校生にとって身近な存在であろうSNSに関する研究事例がまとめられていますので、高校生の方々にとっても興味深い内容であると思います。学術的な切り口の著書ですが、高校生の皆さんにもぜひ読んでいただきたいです。

こんな研究で世界を変えよう!

SNSでも広がる食の誤情報 その対策に挑む

誤情報が広まる舞台

世の中には様々な誤情報が流れています。近年、そうした誤情報が広まる主な舞台となっているのが、高校生の方々にとっても馴染み深いであろうSNS(Social Networking Service)です。SNSを使ったことのある方は、一度は真偽不明の怪しい情報を目にしたことがあるのではないでしょうか。

SNSを中心に伝播していく誤情報は世界中で問題視されており、近年、心理学や計算社会科学といった分野などで多くの研究が蓄積されています。そうした研究では、陰謀論や政治的なプロパガンダなどのトピックが分析対象とされることが多いのですが、私は、世の中に流れている誤情報の中でも、特に食品に焦点を当てた研究に取り組んでいます。

蓄積された学術的な知見も活用して

食品は、誰もが口にする、私たちにとって大変身近なものです。SNSで食べ物や料理の写真がたくさんアップされていることにも示されるように、人々の関心を集める話題でもあります。

そうしたこともあり、食品に関する誤情報は最近始まった話ではなく、昔から様々な誤情報の事例がありました。当然、研究の領域においても昔から取り組まれてきた研究テーマであり、過去に積み上げられてきた多くの学術的知見が存在しています。

そうしたこれまでに蓄積された食品関連の誤情報対策の知見を参考にしつつ、近年取り組まれているSNS関連の誤情報対策の知見も活用して、総合的な形での食の誤情報対策を提案することが私の研究の目標です。

付属農場での実習の様子で、ぶどうの栽培作業に取り組んでいるところです。実際に体験することが貴重な学びへと繋がっていきます。
付属農場での実習の様子で、ぶどうの栽培作業に取り組んでいるところです。実際に体験することが貴重な学びへと繋がっていきます。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「誤情報がもたらす食品への懸念を対象とした心理的介入方策に関する実証的研究」

詳しくはこちら

先生の分野を学ぶには
もっと先生の研究・研究室を見てみよう
研究室の学生が携わっている園芸産業の実証事業での作業の様子です。当学部では、こうした園芸産業について多角的に学ぶ機会が提供されています。
研究室の学生が携わっている園芸産業の実証事業での作業の様子です。当学部では、こうした園芸産業について多角的に学ぶ機会が提供されています。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 小売(百貨店、スーパー、コンビニ、小売店等)

(2) 食品・食料品・飲料品

(3) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等

◆主な職種

(1) 営業、営業企画、事業統括

(2) 事業推進・企画、経営企画

(3) コンサルタント(ビジネス系等)

◆学んだことはどう生きる?

卒業生の進路は多岐に渡っており、業界は小売・金融・食品・コンサルなど様々で、民間企業だけでなく公務員・公的機関への就職も多いです。職種は、社会科学系の学科ということでいわゆる文系就職が中心となり、営業職や企画職、事務職といった職種に就く卒業生が多いと思います。園芸学、マーケティング、流通など、色々なことを学べる学科でもありますので、ここで紹介した以外の業界や職種への就職も多数です。

先生の学部・学科は?

千葉大学園芸学部では研究教育組織が分離されており、研究組織として学科横断的な講座制が取られています。私は「食と緑の健康創成学講座」に所属していますが、食や緑を使ったアプローチを軸として、多様な分野の教員による、人々の健康増進を目指した多くの研究が取り組まれています。そうした色々な分野の教員が集まり研究に取り組んでいるという学際性は、園芸学部のユニークな点だと思います。

付属農場での実習の様子です。私の所属する食料資源経済学科は、社会科学系専攻の学科ではありますが、座学だけでなく、こうした実習の機会もあり、実践的な知識を身につけることができます。
付属農場での実習の様子です。私の所属する食料資源経済学科は、社会科学系専攻の学科ではありますが、座学だけでなく、こうした実習の機会もあり、実践的な知識を身につけることができます。
先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

怒りのブレイクスルー 「青色発光ダイオード」を開発して見えてきたこと

中村修二(集英社文庫)

2014年ノーベル物理学賞を受賞された中村修二先生の著書で、青色LED開発というブレークスルーにまつわる様々なエピソードなどが綴られており、フロンティア精神を学ぶことのできる一冊だと思います。

分野こそ違いますが、私にとって、研究に関する仕事に興味を持つきっかけを与えてくれた書籍です。特に、何かに挑戦したいと思っている高校生の皆さんにぜひおすすめします。


「大発見」の思考法 iPS細胞 vs. 素粒子

山中伸弥、益川敏英(文春新書)

著名なお二人の研究者による対談形式で、iPS細胞と素粒子といったお二人の研究に関する様々なエピソードをはじめ、研究や科学に対する考え方・姿勢、他にも人生哲学といったことが語られており、含蓄に富んだ一冊です。特に、研究・科学に興味を持つ高校生の皆さんにぜひおすすめします。

一問一答