社会システム工学・安全システム

ヒューマンファクター

組織や集団が、あなたの考えや行動に影響を与えている


安達悠子先生

愛知大学 文学部 心理学科

出会いの一冊

医療現場の行動経済学 すれ違う医者と患者

大竹文雄、平井啓(東洋経済新報社)

人は毎日、数多の意思決定をして過ごしています。医療という大きな局面での意思決定をよりよいものにするにはどうしたらいいのか。診療現場での会話例などから、医療者サイドと患者サイドの意思決定を例示し、心理学、行動経済学の観点から分析しています(この二つの学問は親和性が高いです)。表現の影響力、意思決定の揺らぎやすさがわかる本です。ナッジの使用にも言及しています。 続編(『実践 医療現場の行動経済学 すれ違いの解消法』)もあります。理論と実践を行き来していただきたいです。

こんな研究で世界を変えよう!

組織や集団が、あなたの考えや行動に影響を与えている

職場や学校の雰囲気に左右される

「今の職場は水があう」、「職場の人達に恵まれて、仕事を頑張れた」ということはないでしょうか。逆でも構いません。「職場が自分にあわない」、「周りの人が消極的で自分もだるくなってしまった」など。学校でも、「学校(の雰囲気やカラー)」や「クラスでよく一緒に過ごす友達」などは、自分の考えや行動に影響を及ぼしているかもしれません。

組織において、こうした組織レベル(企業や学校)、集団レベル(部署やクラス、友人グループ)が個人に影響するということは、よく起こります。まぁ、個人も集団や組織に影響を及ぼすので、相互関係ではありますが。

人って結構、周りの影響を受けます。人だけではありません。モノや環境の影響もあります。かわいい文房具を使ってテンションが上がる、デザインや表現が変わったら、機能はあまり変わっていないはずのアプリやシステムをよく使うようになったとか。

就職しても学び続けるために

こうした人を取り巻く様々な要因はまとめてヒューマンファクターと呼ばれ、組織や人の安全性や快適性を扱う産業・組織心理学や人間工学では、長く研究されてきました。こうした学問ではベターメントという表現があり、「よりよく」の可能性を上げるお手伝いができたらいいなという気持ちで研究に携わっています。

ところで、仕事って、就職したら終わりじゃない。継続的に学ばないと仕事人としての基準を維持できなかったり、自分が納得できなかったり、ということが結構あります。そうした「学習」に関して、組織レベルや集団レベルの諸要因が個人レベルの学習にどう影響しているかといった、学習に関わる要因やメカニズムを探っています。

産業組織での変化、学習、適応のシンポジウムを担ったメンバーと(日本心理学会2025)
産業組織での変化、学習、適応のシンポジウムを担ったメンバーと(日本心理学会2025)
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「組織・集団・個人レベルの諸要因が組織学習に及ぼす影響」

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人間工学のワークショップの様子(日本人間工学会2025)。理論と実践を繋げるにはどうしたらいいか、ワールドカフェ形式で議論しています。
人間工学のワークショップの様子(日本人間工学会2025)。理論と実践を繋げるにはどうしたらいいか、ワールドカフェ形式で議論しています。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

(1) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等

(2) 金融・保険・証券・ファイナンシャル

(3) 小売(百貨店、スーパー、コンビニ、小売店等)

◆主な職種

(1) 一般・営業事務

(2) 総務

(3) サービス・販売系業務(店長・マネージャーも含む)

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

先生の研究に挑戦しよう!

エラーの日記をとってみましょう。「何が間違っていたか」、「なぜそうなったか」や状況を記録し、分析します。ヒューマンエラー研究を躍進させたジェームズ・リーズン(James Reason)氏は、この方法でヒューマンエラーの分類に至りました。

近年は様々な事故事例データベース(こども、教育、保育、医療、高圧ガス、製品など)が構築・公開されています。それらを題材に、事故分析をしたり、再発防止策を考えてみましょう。

中高生におすすめ

ソロモンの指環 動物行動学入門

コンラート・ローレンツ 日高敏隆:訳(ハヤカワ文庫)

「真実に対する誠実さ」
著者はノーベル生理学医学賞者として有名ですが、様々な動物たちと自宅で過ごし、行動観察するなかで、その行動理由や種の特性などの動物たちの真実を真摯に見いだす年月がエッセイで描かれています。楽しんでいる人の話は楽しい。そして、一貫する動物や真実に対する愛情と誠実さに、胸を打たれます。「作り物でない」動物の話を読みたい人におススメです。


フィンチの嘴 ガラパゴスで起きている種の変貌

ジョナサン・ワイナー 樋口広芳、黒沢令子:訳(ハヤカワ文庫)

「観察、考察、発見」
フィンチというガラパゴス諸島に生息する鳥の嘴の特徴から、進化をリアルタイムに切り取って示した話です。長年の膨大な観察データからの考察は、謎解きの推理小説のようです。観察して考えるという学問の基本姿勢を再認識させてくれます。真理が解明されるプロセスのわくわくはらはらが好きな人、鳥が好きな人におススメです。


失敗のメカニズム 忘れ物から巨大事故まで

芳賀繁(角川ソフィア文庫)

「サイエンスとしてのヒューマンエラー」
ミスをしない人はいません。日常の小さなミスも、交通事故や産業事故などの大きな事故も、本質的には同じであること、ヒューマンエラーは原因ではなく結果であること、ヒューマンエラーを招く組織、環境、人間全般の特性。こうしたヒューマンエラーの捉え方や理解が深まる本です。身の回りのミス、社会で生じた大きな事故を心理学から捉えてみたい人におススメです。

一問一答
Q1.大学時代の部活・サークルは?

バドミントンサークル

Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

巫女(神社の受付のみ)

Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは?

育児


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