フランスのユニークな小売業を、日本の商店街活性化のヒントに
非営利+営利の商業形態「コメルス・アソシエ」
フランスでは、コメルス・アソシエと呼ばれる独特な小売業が発展しています。フランス語のコメルス・アソシエは日本語での適訳がなく、「協同商業」と訳していますが、その名が示すように、これは生協のような協同組合(非営利)とスーパーのような商業(営利)のハイブリッドといえます。
フランスでは、この協同商業がスーパーや薬品、眼鏡、スポーツ用品などの専門店チェーンの分野で、一般の大手小売企業(例えば、日本にも出店した大型スーパーのカルフールなど)と肩を並べて営業しています。
ハイブリッド型経営の持つ可能性
このような協同商業に「加盟」してチェーン店を営業する多くは、一般の小売店主です。日本の一般小売店や商店街の活性化を考えるにあたって、このようなハイブリッド型経営の持つ可能性は大きいと考えます。ここに、「比較研究」の意義があります。
私が大学院で流通や商業の研究を始めた時期は、大型店の出店を規制する「大店法」の改廃問題と商業を含んだ「まちづくり」が盛んに議論されていました。
それらを研究する上で有効となったのは、「比較流通研究」でした。また、この時期には、地域商業活性化も大きな政策課題となっていました。
スーパーやコンビニ、商店街などを含む「流通における多様性」の追求は、私の大学院生時代からの研究テーマです。さらに、ハイブリッド型形態の研究は、資本主義における流通の発展に新たな示唆を与えるでしょう。
資本主義の発展は経済的な豊かさをもたらしますが、格差や貧困のほか、都市においては都市問題など様々な問題を引き起こします。都市や地域で生じる問題に、商業の多様な形態の発展を通して対応することができます。巨大小売チェーンだけでなく、商店街や生協のような協同組合、そして企業と協同組合のハイブリッド型商業など、「多様性」が都市や地域のサステイナビリティを実現するでしょう。
◆先生が心がけていることは?
「もったいない」をスローガンに生活しています。
「フランスのコメルス・アソシエ(協同商業)に関する実証研究」
◆ゼミで取り組ませていること
私たちの社会は、多様な主体によって成り立っています。大企業についての研究のみならず、経済的弱者にも目を向けて研究するよう促しています。身近な商店街について調べ研究していくことも、社会のあり方を考える重要な方法です。
◆主な業種
(1)金融・保険・証券・ファイナンシャル
(2)不動産、賃貸・リース
(3)商社・卸・輸入
◆主な職種
(1)商品企画・マーケティング(調査)
(2)サービス・販売系業務(店長・マネージャー含む)
(3)一般・営業事務
◆学んだことはどう生きる?
ゼミ卒業生はメーカー、流通業、サービス業、金融業など幅広く多様な業界に就職しています。いずれの業界でも、ゼミで学び研究したマーケティングや地域活性化の知見を生かしていると聞いています。どのような分野でもマーケティングマインドやその手法は重要であり、常に顧客(利用者)目線に立ちながら業務に従事しています。
例えば、「買い物弱者」について研究調査したゼミ生は、就職先がちょうど「買い物弱者」対応に注力しており、研究内容を生かして働いているようです。電鉄企業に就職したゼミ生も、地域活性化研究を電鉄企業の沿線地域活性化業務に生かしています。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 理系に進んでみたいです。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 研究対象であるフランス。多様な人々による社会のあり方を、肌で感じることができます。 |
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Q3.一番聴いている音楽アーティストは? 学生時代からハードロック好きです。最近でも80年代のハードロックをよく聞きます。その中でも、ロニー・ジェイムス・ディオ在籍時のRainbowの曲が好きです。 |
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Q4.感動した映画は?印象に残っている映画は? 『ニューシネマ・パラダイス』は今でも印象深いです。 |