社会の危険個所を見つけ、社会的ハザードマップを作る試み
災害研究・貧困研究では脆弱性に着目
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/s76df89a20f09707f/image/i930eca58f900f411/version/1611534998/image.jpg)
「運不運」という言い方がありますが、「良くないこと=不幸事」はできるだけ避けて、無事に生きていきたいと多くの方が願っているはずです。よく日本人は無宗教だと言いますが、それでも厄除け・厄年信仰に見られるように、少なくない人が、不幸事を避けられるように熱心にお祈りをします。
こうした不幸事の起こりやすさや起きた時のダメージが、もしその人が置かれた社会的な地位や属性によって異なっているとすれば、これは単なる運不運の問題ではなくなるでしょう。何か大きな出来事が起きた時のダメージの受けやすさを、災害研究や貧困研究では「脆弱性(ヴァルネラビリティ)」と呼んで問題としています。
社会調査データから見えにくいリスクを見つける
私が今進めている研究では、人生の中で誰もが経験する可能性がある負の出来事(たとえば仕事を失うことや配偶者を失うこと)による脆弱性の違いを、社会調査データから推定する方法を開発しています。
これにより、平常時には潜在化して見えにくい社会的リスク、いわば社会の危険箇所を見つけ出しやすくし、政策的・社会的な対処を促すことができます。いわば、社会学版ハザードマップのようなものを作成したいと考え、データと向き合っています。
![2020年4月の関西学院大学キャンパスの様子です。新型コロナウィルスパンデミックは、私たちの社会生活を大きく変容させ、潜在的な社会の脆弱性を浮き彫りにしています。](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=570x10000:format=jpg/path/s76df89a20f09707f/image/i33a4af11990f2568/version/1611499873/image.jpg)
潜在的に存在する、貧困や不平等のリスクを早期発見することにつながります。
「ヴァルネラビリティ分析による社会的ハザードマップ作成法の開発と応用」